今の時代、韓屋はどうあるべきだろうか。その形態や建築材料、さらには技法に至るまで伝統を踏襲しなければ韓屋とは呼べないのだろうか。あるいは新たな形を取り入れ、その中に韓屋の精神を形として残すやり方こそ合理的なアプローチとは言えないだろうか。
ソウル市鍾路区昌信洞の女談斎はこの問い掛けに対し、現代韓屋としての一つの可能性を提示してくれた。現代式コンクリート製の低層部の上に伝統韓屋が置かれた独自の形だ。設計を担当したのは慶煕大学建築学科のチョン・ジョンファン教授。先週ここでチョン教授から話を聞いたとき、チョン教授は「古い建物が持つ潜在的な力を最大限生かした結果だ」と説明した。ソウルの都心に近い場所で今年5月にオープンしたこの建物は、女性史の研究・教育やそれに関連するイベントなどへの活用を想定した文化空間だ。訪問客は図書室の蔵書の閲覧はもちろん、展示物の観覧もできる。平日は午前9時30分から午後6時まで(9月から土曜日もオープン予定)。現在はコロナの影響で来館には予約が必要だ。
以前はこの地に寺があった。都心の寺は山寺とはその姿が違う。ここにあった寺も現代式の低層部の上に韓屋が置かれた構造だった。低層部は僧侶が生活する寮舍、上の韓屋は大雄殿(本堂)だった。チョン教授は「建物の断面図を想像してみたら、ここで起居する人間の空間と仏像のある神聖な空間が一つの建物の上と下に断絶された姿を思い描くことができた。それ自体がポストモダンだった」「言い換えれば『阿修羅(あしゅら)伯爵』のようなおかしな組み合わせかもしれないが、少し手を加えればどこにも見られない建物になる可能性があると考えた」と語る。
寺が周辺に移ったのはもう10年以上も前だが、その後建物は放置され、寂しく廃れていった。そのためソウル市が買い取り、リフォームを行おうとした際に周辺住民から「建物を撤去して新しく建設してはどうか」との声が相次いだという。しかしチョン教授は「最初から新しいものを建ててしまうと、どこにでもある平凡な建物になると考えた」と語る。そのため「韓屋と現代建築のハイブリッド(混合式)」という従来の形は維持することになった。ただし大雄殿外壁の仏教壁画は撤去し、宗教色をなくすことにした。