韓国与党・共に民主党の言論仲裁法改正案強行に対して、国際言論団体や海外メディアも懸念を表明した。
フランスのパリに本部を置く国際言論団体・国境なき記者団(RSF)は25日未明(韓国時間)、国会法制司法委員会の改正案強行処理に先立って発表した声明で、「韓国国会の過半数を占めている共に民主党が報道機関の虚偽・操作報道に対する処罰を強化する言論仲裁法の改正案を表決に付する予定だが、(この法案では)虚偽・操作報道の定義がはっきりしていない」と述べ、「改正案には犯罪行為に対する詳細な定義が含まれておらず、虚偽・操作かどうかや故意・悪意を判断するシステムに関する言及がない」と指摘した。
国境なき記者団のセドリック・アルビアニ東アジア事務局長は「改正案は(虚偽かどうかなどが)恣意(しい)的に解釈される余地があり、報道機関に圧力をかける道具として使われる可能性がある」「敏感な事案に対する裁判所の決定は主観的になるかもしれないため、立法者たちは十分な制度的装置を保障せずに決して新しい法律を作ってはならない」と強調した。
日本の進歩性向を持つ有力日刊紙である朝日新聞も同日、「韓国の法改正 言論圧迫は許されぬ」という社説で、「文在寅(ムン・ジェイン)政権を支える与党『共に民主党』が、言論圧迫につながりかねない法改正を進めている」と強く批判した。同紙はこの社説で、「言論の自由にかかわる問題だけに、慎重な判断が求められる」「法改正により、取材活動の委縮を招くようなことがあってはならない」と主張した。また、「改正案の中で最も問題視されるのはメディアに重い賠償責任を負わせることを認めた点だ」「報道された中身がどれだけ正しいか、どの程度の悪意があるのかを判断するのは容易ではない」と指摘した。
朝日新聞は、文在寅政権と共に民主党に対しても、「軍事独裁にあらがった民主化運動の流れを継承していると自負する。だがその実、巨大与党の数の力を背景に、普遍的な価値を傷つけるような手前勝手な政治手法が目立つようになってきた」と批判した。その上で、「韓国の民主化は、先人が勝ち取った大切な遺産である」「その原則を後退させてはならない」と強調した。
朝日新聞の今回の社説は、1970年代から韓国の民主化運動を支持してきた日本のリベラル(進歩系)勢力も文在寅政権の言動に失望していることを示しているものと評されている。