ベトナム南部ホーチミンに生産拠点を置くサムスン電子や韓国系中小企業が対応に追われている。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、最大都市ホーチミンが外出全面禁止措置を取ったからだ。
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業界と現地報道によると、ホーチミン市は23日から市民の外出を全面禁止する完全封鎖措置を取った。当初は9月15日まで生活必需品や医薬品を購入する場合を除き、通行を禁止することになっていたが、新規陽性者数は1日3000人を超えたことから、さらに徹底した措置を取った格好だ。ベトナム政府は封鎖期間中、軍を動員して食料の配給と防疫指導を行う計画だ。
今回の措置でホーチミン現地に家電・テレビ工場を置くサムスン電子は非常事態だ。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、掃除機などを生産し、東南アジア、欧州、米国などに輸出する同工場はサムスン電子の家電工場としては世界で2番目、テレビ工場では3番目の規模だ。テレビ・家電業界の書き入れ時である11月の米ブラックフライデーを控え、工場の稼働率は30%まで低下している。
ホーチミンでは企業が稼働するためには工場内の従業員の宿泊施設を設ける必要がある。サムスン電子は工場の稼働を続けるため、テントと野外シャワー施設などを急きょ増設したが、勤務できるのは2000人程度で、普段(7000人)に比べ大幅に少ない。業界はサムスン電子ホーチミン工場の稼働が1日止まれば、171億ウォン(約15億9000万円)の損失が出ると推定している。家電業界からは工場稼働率の低下に部品の調達問題まで重なれば、収益性の面で負担が増しかねないとの懸念が聞かれる。
ベトナム工場での生産に支障が生じ、サムスン電子の商品供給がますます遅れている。サムスン電子のテレビ製品のうち人気モデルは、韓国の消費者が注文しても配送まで3週間近く待たなければならない状況だという。
ホーチミン現地に進出した韓国の中小・中堅下請け企業の被害も深刻だ。キム・ドクリョン中小企業中央会ベトナム事務所長は「工場内で宿泊、食事を解決しなければならないため、追加コストがかかるだけでなく、長期間にわたる封鎖措置に疲れた従業員が大量に退職している」と話した。