11日夜、「天安の江南(江南=高級住宅街の代名詞)」と呼ばれる忠清南道天安市西北区内のマンション地下駐車場で、出張洗車会社のミニバンが爆発して火災が発生した。この火災は保険をめぐる大きな問題に発展することになりそうだ。被害に遭った車は600台を超えると見られているが、これには高級外車が多く含まれているためだ。マンション地下施設の被害まで加えると、損害額は100億ウォン(約9億4000万円)を上回るという推算もある。
消防当局が18日に明らかにしたところによると、今回の火災で被害に遭った車は合計666台だという。ベンツ63台、BMW 56台をはじめ、マセラティやポルシェなどの高級外車もあると言われる。消防当局が推算した火災の被害額は10億1000万ウォン(約9500万円)だが、実際の被害額はさらに増える見通しだ。損害保険業界では、自身の車の損害特約に加入している車の所有者は優先的に保険処理をすることができるが、特約に加入していない所有者には被害補償が容易ではないと見ている。出張洗車会社のミニバンが加入している自動車保険の対物限度が1億ウォン(約940万円)に過ぎないからだ。
今回の火災は11日午後11時09分ごろ、天安市西北区内のマンションの地下2階駐車場にいた出張洗車会社のミニバンから発生した。スチーム洗車のためミニバンに積んでいたLPガスボンベからガスが漏れていたが、30代の洗車会社従業員がタバコを吸うためライターで火をつけた瞬間、爆発したものと見られる。ミニバンを包んだ炎は近くに止まっていた車を襲った。住民のほとんどが帰宅していた平日の夜遅く、駐車場がほぼ満車の状態で発生した火災は、左右の車に燃え広がって被害が大きくなった。ミニバン周辺の車は枠組だけを残して全焼した。有毒な黒い煙が地下2階と1階に充満し、相当数の車が焦げたりすすがついたりするなどの被害に遭った。
消防当局は、被害車両666台のうち全焼した車は16台、一部が焼けた車は28台としている。消防関係者は「被害車両のうち、ベンツとBMWが計119台で、マセラティやポルシェなど1億ウォンを上回る車もある」と語った。天安市庁に近い市中心部に2017年に新築されたこのマンションは、近くに韓国高速鉄道(KTX)の天安牙山駅やデパートもあり、物件の相場が高いという。