東京五輪アーチェリー女子韓国代表の安山(アン・サン)選手(20)は30日、同五輪で3つめの金メダルを手にして「3冠」に輝いた後、「イシュー(論争)になっていることについては知っていたが、できるだけ気にせず競技に集中しようと努めた。たくさんの応援のおかげで良い成績を出すことができたと思う」と心境を語った。安山選手が言った「イシュー」とは、同選手の「ショートカットヘア(短い髪)」をめぐってインターネット上で繰り広げられている「フェミニズム論争」のことだ。男性が中心の一部コミュニティ-・サイトから発せられた「急進フェミニストだからショートカットにしたのではないか」という主張が、この論争を触発した。
ロイターやAFP通信など主要外信各社も、一躍世界のスポーツ界のスターに浮上した安山選手に対して韓国で行われている「フェミニズム論争」を大きく報道している。英BBC放送のローラ・ビッカー・ソウル特派員は30日、短文投稿ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「ツイッター」に「安山がネットでたたかれている」「韓国でフェミニズムは否定的な意味の言葉になった」と投稿した。
安山選手の「ヘアスタイル」に関するフェミニズム論争について、ロイター通信は「安山の短い髪が反フェミニストたちの反感を買っている」「このネットたたきの背景には、若い韓国人男性の反フェミニズム感情がある」と報道した。AFP通信は「韓国は世界12位の経済大国だが、女性の人権が脆弱(ぜいじゃく)な男性支配的社会」と伝えた。
安山選手のフェミニズム論争は、あるネットユーザーがSNSのコメントで「なぜ髪を(短く)切るんですか?」と質問したところ、同選手が「その方が楽だから」と答えたことが知られて以降、広がったものだ。この内容が28日から一部の男性中心コミュニティー・サイトに広がり、安山選手がかつてSNS上に書いた「ウンエンウン(小声でつぶやいた時の音)」「5兆5億(精子の数になぞらえて、何かが非常に多いことを意味する言葉)」などの表現が「男性嫌悪」という批判につながった。一部の男性は「その単語は男性をさげすむ時に使う言葉だ」と主張しているが、そうした意図を知らないまま使う人もいる。こうしたことを土台に、「安山の五輪金メダルをはく奪すべきだ」という主張まで広がり、批判を招いた。