2020年7月は世界の自動車の歴史の分岐点でした。時価総額基準で不動の世界1位だった日本のトヨタ自動車が米国の電気自動車メーカー、テスラに王座を奪われたからです。あれから1年が過ぎた今、逆転した両企業の時価総額を見ると、テスラ(21日基準で約683兆759億ウォン=約67兆円)がトヨタ(約325兆3062億ウォン=約32兆円)の2倍以上と、さらに広がっています。
市場では、このような「成績表」を見て、「内燃機関の没落が本格化した」という評価と共に、20年間続いたトヨタのハイブリッド(エンジンとモーターが共存する車)中心戦略を敗着の原因に挙げています。電気自動車への転換に力を入れるよりも、内燃機関(エンジン)との共存戦略を追求したことが、結局トヨタに遅れを取らせたというものです。
ところが最近、こうした評価が変わり始めました。ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment=LCA)と呼ばれる新たな評価基準と共に、環境にやさしい人工石油「e-fuel(イーフューエル)」が登場したからです。炭素排出量評価時の走行コースにとどまらず、動力(燃料)生産や製品生産・廃棄・リサイクルというあらゆる過程まで含まれるLCAは、電気自動車をもはや排出ガス「0」のエコカーとして認めません。これに加えて、カーボンニュートラル(炭素中立)燃料と呼ばれるe-fuelは、内燃機関の環境性能を最大化してくれます。トヨタの過去の戦略を、単なる「未来を見通せない愚鈍な戦略」と見なすのは難しくなってきているのです。
取材の過程で会った機械・化学分野の専門家たちも「(LCAとe-fuelを考慮すれば)内燃機関の終息に言及するのは早すぎる」と言いました。世界の電気自動車の見通しについて報告書を毎年発表している国際エネルギー機関(IEA)の今年の展望によると、2030年の全世界における車で、電気自動車の割合は7-12%だろうとのことです。10年後も約90%の車はまだ内燃機関車だという意味です。内燃機関車の時代は今後もしばらく続くでしょう。