「私は母親のことを覚えていません。だが、私の体はずっと彼女を探し続けていました。まるで『私の中で響くこだま(echo inside me)』のように」
ドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット-母に書く手紙(Forget Me Not)』の公開を控えているソンヒ・エンゲルストフ監督(39)=デンマーク=は「母がなぜ私を捨てたのか知りたくて作った映画です。はじめから韓国公開が目標でした」と語った。1982年6月20日に釜山で生まれてすぐ、エンゲルストフ監督はデンマークに連れて行かれた。「シン・ソンヒ」という名前と誕生日以外は何も知らないまま成長した彼女は数年前、韓国の未婚の母の保護施設に滞在し、養子縁組の過程をカメラに収めた。
「黒い瞳と黒い髪、デンマークで私はあまりにも目立ちすぎる子どもでした。みんな私に尋ねました。『なぜあなたはここにいるの?』『どこから来たの?』『デンマーク語がどうしてそんなに上手なの?』私は養父母に似たいと思いましたが、不可能なことでした。 『Why me(どうして私なの)?』と天を恨みました」
エンゲルストフ監督はデンマーク国立映画学校を卒業した。大人になって韓国に初めて来た時、彼女は込んでいる道で生まれて初めての安らぎを感じた。「デンマークでは友達と写真を撮ることさえ気が引けるほど、骨の髄から寂しさを感じていました。ですが、ここでは誰も私を変な目で見ませんでした。いすやトイレの便器が私の体格にピッタリ合うということが最も衝撃的でした(笑)」
『フォーゲット・ミー・ノット』は彼女の長編デビュー作だ。「産んで育てる」という未婚の母と反対する家族、出産後の変化、親の戸籍に下のきょうだいとして入れる事例、海外養子縁組などが出てくる。エンゲルストフ監督は「彼らにとって養子縁組は不幸な人生の救いとなる道でした。私の母の過去の姿と会いました」と言った。