半導体などハイテク分野の覇権をめぐり、米中が激しい競争を繰り広げている中、中国の「半導体人材狩り」を防ぐため、台湾政府は台湾人の中国大陸内就業を厳しく制限することにした。人材会社が中国での就職を紹介したり広告したりすることを禁止し、違反した場合、最高500万台湾ドル(約2000万円)の罰金を科すことにしたものだ。これは最近、中国による台湾からの人材引き抜きが深刻なレベルに達しているとの判断によるものと言われている。台湾には世界最大の半導体製造ファウンドリ(受託生産企業)「TSMC」がある。
台湾中央通訊社によると、台湾労働省はこのほど、就職サイトやヘッドハンティング会社に公文書を送り、中国国内の求人広告を出して人材を募集したり、中国での就職をあっせんしたりしないよう求めたとのことだ。指示に従わずに求人広告を出した場合は最高で50万台湾ドル(約200万円)、就職を仲介した場合は最高500万台湾ドル(約2000万円)の罰金に処すると警告した。台湾労働省は公文書で、「米中科学技術戦争の影響で、中国の半導体産業発展に支障が生じている。中国は、独自のサプライチェーン(供給網)構築のための研究・開発の経験が豊富で、同じ言語を使うので管理が容易な台湾の半導体人材を引き抜こうとしている」と書いている。