2012年に植樹イベントに参加するためモンゴルに行ったことがある。深夜に飛行機がウランバートル空港に着陸しようとしたところ、突然ごう音を出してエンジンが噴射し飛行機は再び上昇した。空中で1周してから改めて着陸を試みたがまた上昇した。これを繰り返して最終的に5回目でやっと着陸できた。その時は「本当に死ぬかもしれない」と思った。座席の肘掛けが壊れるくらいしがみついた記憶がある。風が非常に強かったため着陸が容易でなかったようだ。
空を黄色く染める今回の黄砂は主にモンゴルの砂漠から飛来してきたという。強い竜巻に乗って上昇した砂漠の土が3日ほどかけて韓国にまでやって来るのだ。モンゴル平原ではバスで1時間以上走っても見えるのは地平線だけで、木は1本も目にすることができなかった。日が沈む夕刻ごろに母が地平線の先に現れた点を見て「あそこにお父さんが来ている」と言ったが、父は次の日の早朝に到着すると説明した。今月13-15日にモンゴルで秒速30-40メートルの砂嵐が吹き荒れた際、590人の遊牧民が行方不明になったが、うち580人が生還したそうだ。
ゴビ砂漠の名称は「草が生えない厳しい土地」という意味のモンゴル語に由来するという。モンゴルの砂漠化は気候変動も影響しており、また過度な家畜の放牧も原因の一つだ。モンゴルの人口は330万人ほどだが、家畜は2018年のセンサスで6646万頭いることが確認された。いくら木を植えてもヤギを数匹放牧すれば木の根まで全て食べ尽くしてしまう。木や草がなくなれば表層の土が風で飛ばされ、影響で植物はさらに育ちにくくなるという悪循環だ。