韓国国防部(省に相当)は、2033年までに2兆300億ウォン(現在のレートで約1925億円。以下同じ)を投じて韓国製軽空母を実戦配備することを明らかにした。国防部と防衛事業庁(防事庁)は22日、第133回防衛事業推進委員会を開き、軽空母(CVX)事業推進基本戦略案を審議・議決した。防事庁は「垂直離着陸(VTOL)型戦闘機を載せていき、さまざまな安全保障上の脅威に対応して紛争予想海域での挑発を抑制するための、韓国軍初の軽空母を確保する事業」と表明した。
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2兆300億ウォンは軽空母そのものの予算で、艦載機や護衛艦など、配備に際しては別途の予算が編成されなければならない。軽空母事業は、2019年8月の「2020-24年国防中期計画」で公式化された。しかし軽空母の戦略的実効性を巡る論争が拡大し、今年の国防予算には防事庁が要請していた委託研究費101億ウォン(約9億5800万円)の内、1億ウォン(約950万円)しか反映されなかった。
韓国軍内外からは「韓半島自体が巨大な不沈空母なのに、数兆ウォンの予算を軽空母に投入するのは税金の無駄」という指摘が出ている。軽空母が配備されれば、次世代戦闘機(FX)第2次事業の配備機種がF35AからVTOL型のF35Bに変更されかねない。だがF35BはF35Aより50%も値段が高く、その一方で性能は劣っている。韓国の地理的条件からは、軽空母よりも極超音速ミサイル開発や原子力潜水艦配備の方が優先、という指摘もある。また、韓国政府の関係者は「陸軍将兵が使っている40年前の旧式小銃を最新型のものへ変えるのに7500億ウォン(約712億円)あれば十分、という指摘もある」と語った。
しかし、ある予備役海軍将官は「『韓半島不沈空母論』は国民の大きな犠牲を前提にしたもの」だとして、「海上で航空アセット(資産)を運用すれば、北朝鮮の挑発に効果的対処ができる」と語った、韓国海軍内外では、軽空母に関連して「韓国の国力において無理な投資ではない」「韓国より3-4倍の海軍力を持つ中国・日本の潜在的脅威に備えるべき」という意見も提起されている。