1984年、ソウル大公園で初めてスタートした「イルカショー」が今後は韓国の水族館でなかなか見られなくなるものと思われる。水族館が新たにイルカを輸入しないよう、政府が規制することにしたためだ。
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海洋水産部が24日に明らかにしたところによると、国内の水族館のイルカは合計27頭だという。慶尚南道巨済シーワールドが10頭と最も多く、蔚山長生浦クジラ生態体験館(4頭)、済州パシフィックランド(4頭)、済州アクアプラネット(4頭)、全羅南道麗水アクアプラネット(2頭)、済州マリンパーク(2頭)、ソウルロッテワールドアクアリウム(1頭)という内訳になっている。
海洋水産部が今年、動物園・水族館法を改正し、新たにオープンする水族館では鯨類を持ち込めないようにした。既存の水族館も鯨類を新たに持ち込むのが難しくなる。鯨類は国際絶滅危惧種なので輸入するには環境部の許可を受けなければならないが、環境部は商業目的のためにクジラを輸入するのを許可しないという見解だ。事実、2017年以降は許可事例がない。
このような変化は、イルカを水族館で飼育することは「動物虐待」だという各環境団体の問題提起によるものだ。イルカは自然な状態では30-40年生きると言われている。だが、水族館では10年も生きられないことが多い。事実、2005年以降輸入あるいは新たに生まれたイルカ61頭のうち34頭が死んでいる。蔚山長生浦クジラ生態体験館では、イルカが生まれた年に死ぬケースが2014年以降で4件あった。このような理由から、カナダ・フランス・インドなどでは鯨類の繁殖を禁止したり、商業的に利用したりすることを制限している。
しかし、反論もある。動物園・水族館の本来の目的は「珍しい動物を見せること」なのに、なぜさまざまな動物のうちのイルカだけを特別扱いするのか、というものだ。これに対して専門家たちは「国際的な方向性に沿った措置だ」と話している。韓国水族館発展協会のコ・ジョンラク会長は「鯨類は移動距離が数千キロメートルに達し、水族館での生活に適応が難しい。また、知能が高く不自然な生活に苦痛を感じる程度も大きいほうだ」「陸上生物とは異なり、(海洋生物である)イルカは個体数の把握などが難しいため、絶滅にいっそう脆弱(ぜいじゃく)である点も考慮する必要がある」と説明した。