韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年会見で、裁判所の強制徴用判決と関連して「(日本企業の資産が)強制執行の形で現金化されることは望ましいと思わない」と発言した。韓国の裁判所は昨年末から、徴用被害者らの請求に基づいて差し押さえた日本企業の資産を現金化(売却)する手続きを進めている。これに大統領が、公に反対の立場を表明したのだ。
朴槿恵(パク・クンへ)政権時代に韓国外交部(省に相当)が徴用判決関連の意見書を大法院(最高裁に相当)に送ったことを巡り、与党側は「裁判の取引」だと攻撃した。韓日関係が破局に直面しかねない可能性を大法院に知らせることのできる問題でも、「司法介入」だと追い込んでいった。梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長は身柄まで拘束された。文大統領は、2019年の新年会見では「司法府の判決に政府は関与できず、尊重すべき」と言っていた。ところがわずか2年で態度が急変した。与党の民主党の議員らも、日本へ行って「強制徴用問題は現在の状態で封じるのがいい。大法院も破局を望まないだろう」と言った。前政権の意見提出は犯罪だというのに、自分たちはおおっぴらに裁判所を圧迫する。