【コラム】もしイーロン・マスクが韓国で生まれていたら

支配構造の弱点を突いた企業たたき
ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクなら韓国ではなく火星で起業したはず

【コラム】もしイーロン・マスクが韓国で生まれていたら

 サムスンが過去10年余り、最も頭を痛めたのが支配構造の改善であり、それはまだ進行途上だ。他の大企業にも似たような循環出資構造があるが、政界や一部市民団体は唯一サムスンに対してだけ執拗(しつよう)に支配構造の改善を求めてきた。フィンテック時代に逆行する古い「金産分離」(金融資本と産業資本の分離)の原則を掲げ、サムスン電子の大株主であるサムスン生命の議決権を制限したのに続き、事実上サムスングループを解体するよう求める保険業法改正案まで数多くの規制法案を繰り出した。経営難の企業でもなく、税金が投入されているわけでもないのに、特定企業の支配構造に政界が介入する世界でも例がない事態が続いている。

 故・李健熙(イ・ゴンヒ)会長が生前、脱法的な相続に対する謝罪として、自分と子女の財産8000億ウォン(約760億円)を寄付したが、知らんぷりだった。サムスンの新旧経営陣が半導体、スマートフォン、テレビというIT(情報技術)の3大中核事業を世界トップに押し上げた産業史に長く刻まれる業績も、政治勢力が湯水のように使えるように10兆ウォンを超える法人税を毎年納めていることも情状酌量の要因にはならなかった。

 強力なオーナーシップに基づき、中核事業を育成してきたサムスンの成長史が否定され、サムスンの経営陣が政治権力にたたかれるのを避けようと戦々恐々とする間、サムスンと韓国社会が失ったものは非常に多い。今の経営陣にはつらい話だが、サムスンは過去10年間、特許が満了したバイオ医薬品を受託生産するバイオ事業を除き、これといった新事業を立ち上げることができなかった。データと人工知能(AI)、クラウドサービスなどコロナ以降に世界をリードするアンタクト(非対面)分野では中国にかなり遅れ、自動運転車や電気自動車向けバッテリーのような未来産業でも半導体とスマートフォンに肩を並べるような成果を上げられずにいる。

■「2020年世界革新指数」2位韓国、TOP10は?

チョ・ヒョンレ産業部長
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