イランのイスラム強硬派系の各メディアが、韓国船籍のタンカー「韓国ケミ」の拿捕(だほ)について「泥棒を捕まえた」などの表現を用いて毒舌を振るった。米国の経済制裁に従って、韓国の銀行がイランの口座にある70億-80億ドルの石油輸出代金を凍結したまま支払っていないため、これに対する正当な対応だと主張しているのだ。
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イランの半官営メディア、タスニム通信は5日(現地時間)、イラン革命防衛隊が「韓国ケミ」を拿捕し、先導する様子を撮影した写真を1面トップに掲載した。タスニム通信のペルシャ語報道を英語に翻訳したアラブ圏メディアの記事によると、タスニム通信は「韓国ケミ」の写真と共に「資金泥棒に対する正当な対応」と題する記事で「韓国に凍結されたイランの資金は80億ドルと推定され、(今回の拿捕が)この資金を取り戻すきっかけになり得る」と書いた。タスニム通信はイラン革命防衛隊の支援を受けるメディアとして知られている。
ペルシャ語で発行されているイランの日刊紙「バタネ・エムルズ」も同日、「韓国ケミ」の写真を1面に掲載し「我々は泥棒を捕まえた」と報じた。同紙はイスラム強硬派に追従しているといわれるメディアだ。同紙は「韓国の大統領の政治的未来は、タンカー拿捕事件とイラン封じ込めをどう処理するかに掛かっている」と主張した。
韓国のタンカー拿捕について、イランの各メディアが「泥棒」といった表現を用いるのは、凍結された資金に着目してのことだとみられる。こうした内容の報道は、イラン政府の公式声明とは対照的だ。イラン政府は「海洋汚染を起こしたことを問題視しただけであり、(経済制裁で)凍結された資金とは無関係だ」と表明している。つまり海洋汚染は表面的な大義名分に過ぎず、本心は「早くカネをよこせ」というわけだ。