文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は27日、韓国公共外交学会のウェビナー向け基調講演で「韓国は米国でも中国でもない、陣営外交から自由な新たな国際秩序を築かねばならない」と述べた。文氏は「安全保障は米国、経済は中国といった『綱引き外交』は今のような緊張関係では非常に危険だ」とした上で、上記の考えを示した。米中対立の中でどちらかを選択する「二者択一のジレンマ」から抜けだそうという意味だ。文氏は「サンドウィッチになりかねない状況から抜け出すために韓国が選ぶべき方法は超越的接近だ」「日本やオーストラリアなど、よく似た立場の国と新冷戦を阻止できる経済・安保共同体を発展させよう」と提案した。
文氏は「バイデン政権が発足すれば、経済や技術分野においては中国封鎖の戦略に柔軟性が出てくるかもしれないが、軍事や価値観といった側面では逆により強硬になるかもしれない」「(米中対立で)われわれはより困難な状況に追い込まれ、北朝鮮の核問題を平和に解決することも難しくなるだろう」と予想した。
文氏はこの日の講演に先立ち、韓国を訪れている中国の王毅・国務委員兼外相との朝食会に出席した。王毅外相は「世界には米国しかないわけではない」と述べるなど、韓国滞在中は多者主義を強調している。そのため文氏がこの日言及した「超越的接近」という言葉については、「王毅外相の主張に同調しているようだ」との指摘も出ている。