日本の半導体メーカー、キオクシア(旧東芝メモリ)は三重県四日市市に1兆円を投資し、NAND型フラッシュメモリーの工場を新設することを決めた。最近韓国のSKハイニックスがインテルのNAND部門を10兆ウォンで買収し、世界シェアが逆転する危機に直面したキオクシアが攻撃的投資で活路を見いだそうとしていると分析されている。
日本経済新聞によると、キオクシアの新工場建設は次世代通信規格「5G」の本格普及に伴うメモリー需要の拡大に対応し、最先端のフラッシュメモリーの量産体制を整え、中韓勢の攻勢に対抗する狙いがある。
フラッシュメモリーは電源が切れても保存したデータが消えない非揮発性メモリーで、内部の回路形態によって、NAND型とNOR型に分かれる。キオクシアが注力する分野はNAND型フラッシュメモリーだ。
設備投資は米ウエスタンデジタル(WD)と共同で実施する。着工は2021年春を予定しており、22年内に稼働を見込む。建屋面積は合計で4万平方メートルと、キオクシアが稼働中の工場では最大規模になるという。四日市工場はキオクシアにとって、7番目のNAND型フラッシュメモリー生産拠点になる。
市場調査会社のトレンドフォースによると、今年4-6月の世界のNAND型フラッシュメモリー市場のシェアはサムスン電子が31.4%で首位、キオクシアが2位(17.2%)、WDが3位(15.5%)だ。SKハイニックスは4位だが、シェア11.5%のインテルNAND部門を買収すれば23.2%となり、サムスンに次ぐ2位に浮上する。
業界はSKハイニックスに危機感を覚えたキオクシアが攻撃的な投資を通じ、反撃に出ているとみている。日経によると、キオクシアは10月に予定していた新規株式公開(IPO)を延期したばかりだが、競争力の維持に量産投資は欠かせないと判断した。岩手県北上市でもNAND型フラッシュメモリーの新工場を20年春に稼働させており、本格的な量産の準備を進めている。