「もう一度伺います。射殺せよと? 本当ですか?」
北朝鮮軍による韓国海洋水産部(省に相当)職員の射殺事件が発生した当時、韓国軍が緊迫した北朝鮮軍の内部報告と上層部の指示内容をリアルタイムで傍受していたことが分かった。
国会の国防委員会と情報委員会によると、韓国軍は、行方不明の職員が西海(黄海)登山串付近で北朝鮮の船舶に発見された22日午後3時30分より前から、北朝鮮軍の交信内容を無線で傍受していたという。傍受した内容によると、北朝鮮の海軍司令部が「射殺せよ」と命令し、北朝鮮軍の大尉級艇長が「もう一度伺います。射殺せよと? 本当ですか?」と聞き返していた。その後22日午後9時40分ごろ、現場から「射殺した」との報告が上層部に届いたことが分かった。
これについて、国会国防委員長を務める与党「共に民主党」のミン・ホンチョル議員は「(韓国国防部から)北朝鮮軍の上層部から指示が下され、北朝鮮の大尉級艇長がその指示を1、2度確認する過程があった、という報告を受けた」と述べた。ただし「『射殺せよと? 本当ですか?』という言葉については報告を受けていない」と話した。
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韓国軍の関係者は「北朝鮮軍同士の交信内容の正確な文言は確認することができないが、大尉級艇長が射殺の可否を確認するために何度か言葉を交わしたのは正しいようだ」と述べた。野党のある議員は「北朝鮮軍の艇長が上層部の意向を正確に把握できず『殺せと言うことですか、生かせということですか』などと上層部に尋ね、最終的に上層部から殺せと言う命令が下された、との内容の報告を国防部から受けた」と述べた。
北朝鮮は韓国側に送った通知文で、韓国海洋水産部の職員が「80メートル離れた所で『大韓民国、何々』とごまかした」としていたが、韓国軍はこの内容が事実ではないとの見方を示している。韓国軍は北朝鮮軍が海洋水産部職員を射殺した後、遺体を焼却したものとみている。
韓国軍はこのような内容を22日午後10時30分に青瓦台(韓国大統領府)に報告した。しかし青瓦台は、23日未明に関係長官(閣僚)会議まで開いたものの、文在寅(ムン・ジェイン)大統領にこの事実を報告したのは23日朝の8時30分だった。依然として政府の遅すぎる対応が議論を呼んでいる。