税収不足の穴埋めに交通違反切符を乱発? 文在寅政権発足後に46%増

過怠料・反則金の賦課額、史上初めて9000億ウォンを突破か

 交通事故専門のハン・ムンチョル弁護士は最近、動画サイト「ユーチューブ」のチャンネルで過剰な交通取り締まりの事例を紹介した。今月4日に仁川市西区の重峯大路にて、反対車線に待機していた警察車両が、黄色信号で進行したトラックを交通違反で摘発したというケースだった。ハン弁護士は当時のドライブレコーダーの映像を公開し、「(反対車線にいた)パトカーが『ドライブレコーダーを見る必要もない』と強引に信号無視の切符を切った」と指摘した。

 オンライン空間には、韓国警察によるこうした過剰な交通取り締まりの経験談があふれている。ソウル市麻浦区に暮らすAさんは「いつも渋滞している合井交差点で左折するとき、交通警察が急に現れて車線違反の切符を切る」と話す。実際、文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから速度違反の摘発件数が50%近く急増したことが24日までに確認された。保守系最大野党「未来統合党」の金睿智(キム・イェジ)議員室が韓国警察庁から提出を受けた資料によると、2016年に809万件だった速度違反摘発件数は、文在寅政権が発足した17年には1184万件と大きく増えた。わずか1年で摘発件数が46.3%も増えたのだ。その後も、摘発件数は18年1215万件、19年1240万件とじわじわ増える傾向にある。

 無人交通取締りカメラも、文政権発足後の17年の時点で7016台だったのが、18年7979台、19年8892台と毎年11%以上ずつ増えている。交通警察が現場で摘発する速度違反の件数も、18年22万件、19年24万件、今年は6月までの時点でおよそ11万5000件と増加傾向にある。警察の全国的な取り締まりと共に、韓国各地の道路で制限速度が引き下げられる傾向にあることも影響している-との分析がある。韓国政府は今月1日、文在寅大統領主催で開かれた初の国務会議(閣議に相当)で、全国の子ども保護区域(スクールゾーン)における車両制限速度を時速30キロ以下に下方修正し、歩行空間がない区域ではさらに低くして時速20キロ以下にすると決めた。これに伴い、税外収入である交通過怠料・反則金の賦課額も大きく跳ね上がった。交通過怠料・反則金は17年8857億ウォン(現在のレートで約783億円。以下同じ)から18年8429億ウォン(約745億円)、19年8862億ウォン(約784億円)と急増した。今年も6月までの時点で既に4469億ウォン(約395億円)が収められた状態で、現在の傾向のままだと史上初めて過怠料・反則金が9000億ウォン(約796億円)に達する見込みだ。

 野党は「文在寅政権が、不足する税収を埋めるため交通違反切符を乱発しているのではないか」と主張した。税外収入である過怠料・反則金が交通安全のために使われていない、という点もまた、別の問題として言及されている。金睿智議員は「大多数の市民は『税金爆弾』に続いて『過怠料バッシング』にまで遭っているということ」と語った。

キム・ヒョンウォン記者

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