与党関係者が関与した大規模な不正疑惑事件に対する韓国検察の捜査が「開店休業状態」に陥っているという批判が聞かれる。4月に与党が総選挙で圧勝して以降、尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長への揺さぶりが強まり、「検察の現政権に対する捜査の力が抜けた」「捜査が座標を失った」と指摘されている。
青瓦台の蔚山市長選挙介入疑惑事件を捜査してきたソウル中央地検は今年1月、宋哲鎬(ソン・チョルホ)蔚山市長、韓秉道(ハン・ビョンド)元青瓦台政務首席秘書官、白元宇(ペク・ジョンウ)元青瓦台民情秘書官ら13人を在宅起訴したのに続き、任鍾晳(イム・ジョンソク)元青瓦台秘書室長、李光哲(イ・グァンチョル)青瓦台民情秘書官に出頭を求めて事情を聴いた。検察は当時、「検察の捜査が選挙に影響を与えたと言われかねない」として、任元室長らを起訴するかどうかを4月の総選挙後に決める構えだった。
しかし、総選挙から3カ月、聴取から6カ月がたっても、検察は任元室長らに対する追加聴取を行わず、起訴するかどうか結論を下せずにいる。
宋哲鎬蔚山市長らの訴状によると、事件は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「30年来の友人」だという宋市長を2018年の地方選挙で当選させるため、青瓦台の7部署が動員されたというものだ。まず、宋市長の公約づくりと単独出馬、選挙本番での競合過程に青瓦台の均衡発展、社会政策、政務首席、人事の各秘書官室が動いたとされる。さらに、宋市長のライバル候補だった金起ヒョン(キム・ギヒョン)前蔚山市長(未来統合党)の不正捜査を青瓦台が蔚山地方警察庁に求めたとされる「下命捜査」疑惑を巡っては、民情、反腐敗の各秘書官室や国政企画状況室が関与したとみられている。