ある法律専門家は「KBSまで加勢して『検察・メディアの癒着』を『総選挙への介入』という枠組みで決め付けようとして事故が起きたようだ」と指摘した。「視聴料で運営される公営放送が事実上『政治工作』に関与した」という批判も聞かれる。検察内部からは李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長ら幹部が漏えい者として取り沙汰されている。監察の行方について、大検察庁は「何も決まっていない」との立場を示した。
今回の事件を捜査しているソウル中央地検刑事1部は、事件を最初に報じたMBCのチャン・インス記者(44)から事情を聴いた。チャン記者が虚偽報道やチャンネルAの取材を妨害した疑いで告発されてから3カ月後の時点での出頭要請だった。
■KBS内部「政権の太鼓持ち」との批判
KBS公営労組は声明で、「KBS報道本部の取材チームが1日後に屈辱的な『セルフ降伏宣言』を行った」とし、「取材されていないファクトをひとまず騒ぎ立ててみることが取材方針なのか」と批判した。非全国民主労働組合総連盟(民主労総)系のKBS第1労組も「会話記録を渡した取材源が果たして誰なのか、正体不明の会話記録が検証なく無理に報道に使われた背景を明らかにすべきだ」と要求した。KBS局員が使用する匿名掲示板には、「ミスではなく、尹総(尹錫悦検察総長)を飛ばすための報道だ」「事実確認もせず、政権のためになりふり構わず出しゃばる行為は実に衝撃的だ」といった批判が相次いだ。こうした内部の反発が容易には収まらないという見通しも聞かれる。鮮文大言論広告学部の黄懃(ファン・グン)教授は「問題の報道は複数のデスクを経ているはずだが、フィルターなしで報じられたことは、KBSの報道システムが政治派閥性に占領され、客観性を失っていることを示している」と述べた。