韓国による米国へのロビーは「コリア・ゲート」という闇の歴史から出発する。1970年代に在韓米軍削減、人権問題などで米国との間に摩擦が生じていた韓国政府は、ある在米実業家を通じて米議会内の友軍確保作業に乗り出した。ところが厳しい規制を受ける米国のロビーシステムを無視し、「韓国式」でまず金からばらまいたため大恥をかいた。当時、米国のメディアからは「洗練されていない工作の標本のようだ」などの嘲弄(ちょうろう)も浴びた。そのため今に至るまで韓国国内では「ロビイスト=違法ブローカー」「ロビー=賄賂・供応」という認識が広がっている。
韓国における陰湿なイメージとは違い、米国ではロビーは修正憲法「請願権」に基づく合法的なビジネスだ。企業や団体はもちろん、海外の政府も専門のロビイストを雇用し、利害関係を貫徹させることのできる通路を制度として保障している。ただし顧客、報酬、活動内容については透明に公開しなければならず、これに反した場合は処罰を受ける。「Kストリート」で象徴されるワシントンのロビー市場には、2500の会社と2万人以上のロビイストが登録されており、彼らは毎年30億ドル(約3200億円)を使うという。大物であれば連邦議員を直接呼び、食事を共にする。米国内の人脈がほとんどない外国政府や企業が彼らを適切に活用できなければ、非常に愚かなことだ。
韓国政府が対米ロビーのためロビイストを直接雇用したのは2005年からだ。駐米大使館は韓米双方の事情に明るい韓国系の広報会社やローファーム(法律事務所)を主に使った。米国国内でも反対が根強かった韓米FTA(自由貿易協定)批准の過程で、700万ドル(約7億5000万円)以上のロビー資金が投入された。慰安婦決議案の採択、ビザ免除プログラムへの加入、対外有償軍事援助(FMS)の地位格上げなど、これら対米外交の成果にもロビーは一定部分で寄与した。