ボルトン氏の回顧によると、板門店会談当日の6月30日午前、青瓦台で行われた韓米首脳会談で、米国側は数回にわたり文大統領の出席を拒否したという。文大統領は「金正恩委員長が韓国領に入った時、私がいないと不適切に見えるだろう。金正恩委員長にあいさつをして、彼をトランプ大統領に取り次いでから去りたい」と提案したという。マイク・ポンペオ国務長官は「文大統領の考えを前日夜に打診したが、北朝鮮側が拒否した」と言った。トランプ大統領は「私は文大統領が出席することを望んだが、北朝鮮の要求通りにするしかない」と言い逃れをしたとのことだ。
それでも文大統領は「これまで大統領がDMZを訪れたことはよくあったが、米国大統領と韓国大統領が一緒に行くのは初めてだ」と同行を求め続けたとボルトン氏は振り返った。トランプ大統領は「この大きなチャンスを逃したくない。金正恩委員長に言いたいことがあるし、警護部門が日程を調整しているので、彼らの言葉に従うしかない」とあらためて拒絶した。トランプ大統領はまた、「金正恩委員長がどのように考えるか、私は少しは理解できる。私に会いたいと思っているのは分かる」として、文大統領に「私をソウルからDMZへと見送って、会談後、烏山空軍基地でまた会ってもいい」と言った。これは事実上、「3者会談」を拒絶したものだ。だが、文大統領はこれを受け入れず、「DMZ内の観測哨所(OP Ouellette)まで同行した後、次に何をするかを決定しよう」と言ったという。