韓国人強制労働で悪名高い軍艦島(端島)炭鉱の真実を歪曲(わいきょく)した日本の「産業遺産情報センター」は、安倍晋三首相と2代にわたり縁のある側近が企画した後、運用を担当していることが21日、明らかになった。このため、産業遺産情報センターの歪曲された展示物の決定にほかの省庁が関与できず、国際社会との約束に違反した展示が行われているという指摘が出ている。日本は2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)に対し、軍艦島の世界文化遺産登録時、「本人の意思に反する韓国人強制労働」を認め、犠牲者をたたえる情報センターの設立を約束したが、過去を美化する内容のみの展示でこのほど開館して物議を醸している。
安倍首相や官邸の事情に詳しい日本側の消息筋は「安倍首相の最側近で『ポスト安倍』とも言われている加藤勝信厚生労働相の妻の姉である加藤康子氏が産業遺産情報センターの開館準備を総括し、センター長を引き受けた」と話す。この消息筋は「康子氏の父親は、安倍首相の父親・安倍晋太郎元外相と親しかった加藤六月元農林水産相で、今も家族ぐるみで行き来するほど親しい間柄だ」と言った。加藤六月氏は1980年代に安倍晋太郎氏が首相候補に取りざたされた時、安倍派「四天王」の一人と呼ばれた。別の消息筋は「安倍首相の母親と加藤康子センター長の母親は姉妹と言われるほど親しかった。安倍首相は加藤康子センター長を妹だと思っているという話もある」と語った。
加藤康子センター長は慶応大学卒業後から日本の明治時代の産業遺産に興味を抱いて活動してきた。2013年には財団法人・産業遺産国民会議を立ち上げ、理事に就任したが、これには自身の父親はもちろん、安倍首相関連の人脈が多数参加した。2015年に安倍首相から「内閣官房参与」に任命され、産業遺産情報センター開館準備業務を総括し、このたび同センター長に就任した。
加藤康子センター長は14日、東京特派員共同取材団に「当時(日本の帝国主義時代)、朝鮮人と日本人は皆、同じ日本人だったので差別はなかった」という証言映像を紹介した。日本政府がユネスコにした国際的な約束とは違うという指摘については、「今後1年かけて展示の内容をさらに充実させる予定だ」とだけ答え、是正の約束はしなかった。
日本政府内では「日本はユネスコで国際的な約束を守らなかった」という批判が韓国を中心に提起されていることについて困惑しているという。しかし、安倍首相の一族と2代にわたって親密な関係にある加藤康子センター長が事実上、全権を握っており、今後も展示内容の是正は難しいだろうとの見方がある。