【朝鮮日報コラム】正義も記憶も連帯もなかった

【朝鮮日報コラム】正義も記憶も連帯もなかった

 「おばあさんたちには望んでもいない心の傷を負わせたことを謝罪する」

 正義記憶連帯(正義連)のイ・ナヨン理事長は11日、ソウル市内の「人権財団サラム」で行われた会見を、慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんに謝罪することから始めた。「聖金(寄付金)がおばあさんたちのために使われず、いったいどこに使われたのか分からない」として寄付金流用疑惑を提起したおばあさんへの謝罪だった。しかしそれまでだった。

 その後の25分間、正義連(以前の挺身〈ていしん〉隊問題対策協議会)による運動の意義について説明が行われた。イ理事長は「誰も問題を提起しなかったとき、勇敢かつ献身的な数人の研究者たちが立ち上げた。この歴史を知っているのか」と主張した。「われわれがいなければ、慰安婦問題は教科書に掲載されることもなかった。皆さんは何をしていたのか。本の1冊でも読んだのか」と逆に指摘した。慰安婦被害者の人権運動における正義を独占しているかのように、その誇りは大したものだった。

 おかしなことは、イ理事長が口にした正義連運動の中心に慰安婦被害者のおばあさんたちがいなかったことだ。語られたのは活動家と研究者の献身だけだ。李容洙さんが最も中心的な対象になるべき寄付金を、いわゆる「運動をする」という活動家たちがなぜ自由に使うのか。おばあさんたちはなぜその金をまともに受け取ることもできず、どう使われたのか知ることもできないのか。

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