匿名チャットを通じてセクハラも
教師ら「誰も私たちを守ってくれない」
韓国首都圏のある高校で科学の教師を務めるチョンさん=女性=は1日、オンラインで新学期を迎えて実施したテスト講義の最中に、考えられない経験をした。キムさんは同日、授業開始を前に予行演習のため、オンライン会議アプリの「ズーム(Zoom)」でリアルタイムの授業を行っていた。授業中、チャットに「○○高校BJか」という文字が浮かんだ。すると、他の参加者が「ここまでブスのBJは見たことがない」と書き込んだ。BJとはテレビジョッキー(Broadcasting Jockey)の略語だが、この会話では「成人向け番組の司会者」といった意味合いが込められているものと思われる。チャットに匿名で参加できることから発生した事件だ。オンライン授業は特定のインターネットアドレスを通じてのみアクセスすることができるが、学校側は当該アドレスへのリンクを生徒たちだけに送信した。チョンさんは「次回からは顔が出ないように講義映像を事前に作成し、チャット機能のないプラットフォームに載せるつもり」と話す。
中国で始まったコロナウイルスの感染で史上初のオンライン授業が開講となり、授業現場で「教権侵害」が多発していると指摘する声が上がっている。
最大の問題は、教師の顔と授業中の一挙手一投足が録画され、インターネット上に掲載されるという点だ。「ハンマウム(一つの心)の教師になる」というサイトの掲示板には、ある教師が「授業動画の中の教師の顔を生徒がキャプチャーしてフェイスブックに載せ、『面白い顔』と書き込んだのを、同じ学校の生徒が学校に届け出た」とし「誰も私たちを守ってくれない」と書き込んだ。中学校の国語教師のイさん(28)は「特に女性教師は授業の動画が外見の評価やわいせつ物の合成などに悪用されるのを防ぐため、顔が映らないように映像を撮るケースが多い」と説明する。
教育部(日本の省庁に当たる)は7日、「生徒が授業動画の中の教師の顔を偽造・変造して流布したり、授業を妨害したりすれば、教員地位法に基づき退学させることも可能」と発表した。
「ズーム」を使った別の首都圏の高校のオンライン授業でも、匿名チャットを通じてセクハラ発言が勃発した。ある参加者が学校名を頭文字とする性的表現を盛り込んだ三行詩を書き込み、これに抗議する生徒たちに暴言を浴びせた。
ナム・ジヒョン記者