韓国南部の全羅南道海南郡で3月27日に商業運転を開始した同国最大の太陽光発電所「ソラシド太陽光団地」(出力98メガワット)に設置された太陽電池セルは全て中国製であることが6日までに分かった。
太陽電池は太陽光を電気に変換する重要部品であり、数十枚をつなげれば太陽電池パネルとなる。この太陽電池パネルを広い面積に設置したものが太陽光発電所だ。ソラシド太陽光団地に設置された太陽電池パネルは韓国企業のハンソルテクニクスと中国の晶科能源(ジンコ・ソーラー)が金額ベースで半分ずつ納入したが、ハンソルの納品した太陽電池も全て中国製だった。
専門家は「中国製セルは韓国製と効率がほぼ同じでも15-20%割安なので、韓国製は競争にならない」と話した。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は2016年当時7%だった再生可能エネルギーによる発電割合を30年までに20%まで高めるとして、92兆ウォン(約8兆2000億円)の投資を宣言した。韓国国内の太陽光産業を育成するため、政府は昨年4月、研究開発支援、高効率製品に対するインセンティブ提供、太陽電池廃パネルリサイクルセンター設置など「競争力強化支援」プランを発表した。しかし、現実は正反対に向かっている。既に韓国の太陽電池基礎素材分野は中国製に圧倒され、全て廃業した。太陽電池用ポリシリコン業者のOCIは今年に入り、韓国国内での生産を取りやめた。ハンファソリューションも国内工場を閉鎖した。中間製品のインゴット(ウエハー)を生産する熊津エナジーも裁判所主導で事業売却の手続きに入っている。中国製の太陽電池パネル輸入額は、文在寅政権初期の17年の2億4150万ドルに比べ、昨年は3億6750万ドルと52%増加した。
一方、世界一の競争力を持つ韓国の原発産業は脱原発政策の直撃を受けている。原発の主要設備を生産する斗山重工業は新ハンウル原発3、4号機を含む新規原発6基の建設が白紙化されたことで、7兆-8兆ウォンの売り上げが消え、グループ全体が危機を迎えている。中小の下請け業者も相次いで廃業の危機に追い込まれている。
仁川大の孫良薫(ソン・ヤンフン)教授は「脱原発政策で世界最高の競争力を備えた韓国の原発産業は崩壊し、政府の支援が集中する太陽電池市場では中国企業が恩恵を受けるというあきれた事態が起きている」と指摘した。