8年前に終了した韓日通貨スワップ…政治に阻まれている

新型コロナ経済危機

 600億ドル(約6兆6600億円)規模の韓米通貨交換(スワップ)協定締結で、外国為替市場の不安がやや落ち着いた中、「もう1つの安全弁」である韓日通貨スワップを再開するかどうかに関心が集まっている。日本が相手の通貨スワップは米国よりも歴史が古いが、2012年に中断して以降、再開されていない。専門家らは「外国為替市場の潜在的な不安を解消するには、通貨スワップはできるだけ多く締結した方がいい」と話す。

 韓日通貨スワップは2001年7月に20億ドル(現在のレートで約2220億円)規模で初めて締結された。その後、2008年の世界金融危機時に300億ドル(約3兆3300億円)へと大幅に拡大され、2011年には700億ドル(約7兆7660億円)まで増加した。ところが、2012年8月に李明博(イ・ミョンバク)元大統領の独島訪問や「天皇への謝罪要求」発言で韓日関係が悪化し、同年10月に満期になった通貨スワップ契約が延長されず終了した。

 2016年に英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit=ブレグジット)や米金利引き上げなどで金融市場の不確実性が高まったことから、韓国から日本に通貨スワップを提案したが、日本は釜山にある日本領事館前に慰安婦少女像が設置されたことを問題視して交渉中止を宣言した。

 新型コロナウイルス感染拡大による経済危機克服のため、専門家はもちろん、金融当局も韓日通貨スワップ再開が必要だという見解を持っている。韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は20日、出勤途中に記者らに、「日本との通貨スワップも意味があるので、今後、外国為替市場の安全弁を強化するため、中央銀行間の協力を強める努力を続けていく」と述べた。

 しかし、昨年の日本による輸出規制以降、韓日関係が悪化の一途をたどっていることが壁になっているとの声もある。世宗大学経営学部のキム・デジョン教授は「韓国の外貨準備高は4000億ドル(約44兆3760億円)を超えており、十分だと言われているが、国際通貨基金(IMF)や国際決済銀行(BIS)が勧告する水準よりも大幅に不足している。外貨準備高を増やすのは時間がかかるだけに、政府として日本との関係改善に乗り出し、通貨スワップを再開すべきだ」と語った。

アン・ジュンヒョン記者
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