【コラム】安倍首相と李克強首相の特別なクリスマス

 国内総生産(GDP)で世界2位の国と3位の国の密着は、呉越同舟という面があるのも事実だ。どこに飛び跳ねるか分からないトランプ米大統領のリスク管理という観点からこうなっている可能性もある。だが、明らかなのは、過去ではなく未来を見据えたゲームをしているということだ。中国は、むごたらしい南京虐殺をいたずらに国民感情化しない。刀は鞘(さや)に収めたまま、すぐには抜かない。安倍首相が構想しているインド太平洋戦略と、習近平主席の一帯一路(シルクロード経済圏)構想は両立が難しいのが事実だ。それでも安倍首相は一帯一路が習近平主席の重点事業だと判断して協力を約束した。

 両国の動きを見ると、北東アジアの新しい版図を作るための「巨大なゲーム(great game)」に本格的に着手している気がする。終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題以降、韓中関係は韓日関係と比べてもどちらかというと良くなく、決して良好とは言えない。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題は韓米同盟をさらにギクシャクさせた。「韓米同盟は揺らぎ、韓日関係は最悪、韓中関係は深刻」な状況における日中密着は今後、韓国にどのような影響を与えるのだろうか。

 先月死去した中曽根康弘元首相の自叙伝に小さなヒントがある。通商産業大臣だった中曽根氏は日中国交正常化の翌年に当たる1973年に北京を訪れ、周恩来首相に会った。和解ムードの中、三日間・8時間にわたってさまざまな問題について話し合っていた際、南北朝鮮についても協議した。中曽根氏は当時分断されていた東西ドイツについて言及した上で、「朝鮮半島(韓半島)はどのようにすべきだろうか」と聞いた。すると、周恩来氏は「南北双方が各自の体制のまま連合体制を作るのが良いではないだろうか」と統一に否定的な認識を示した。さらに、周恩来氏は「日本も北朝鮮との交流をもっと増やすよう望む」とも語ったという。

 仲良くなった日中両国の指導者たち2人が、米国がよそ見をしている間に南北問題処理の方向性を本格的に話し合わないと言い切れるだろうか。「巨大なゲームのやり方も知らない韓国は仲間はずれにした方がましだ」と日中が合意してしまったら、韓国の安全保障や経済はどうなるだろうか。満開の日中新時代に、両国に対するゲーム・プランをしっかりと持てないまま新年を迎えるという事実が恐ろしい。

東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員

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