5段階の個別人事評価により賃金引き上げ幅に差つける
韓国GM・ルノーサムスンはスト実施…現代自動車は労使がWi-Fiめぐり神経戦
「より一生懸命に働いた社員がより多くの賃金を受け取れるようにしよう」
今年上半期(4-9月)に過去最高の純利益(約13兆5000億ウォン=約1兆2730億円)を出した日本のトヨタ自動車の労働組合が会社側にこのような驚きの提案をすることが分かった。じっとしていても一括で給与が上がる年功序列制中心の「終身雇用」賃金構造になっているのに、労組側から成果連動制を導入してそれを壊すと言いだしたのだ。
日本の共同通信は26日、「トヨタ自動車労働組合が2020年春闘に向け、ベースアップ(ベア)の額が各組合員の人事評価に応じて従来よりも差がつく賃上げ制度の提案を検討していることが分かった」と報道した。この賃上げ制度は成果年俸制のことで、各社員に5段階の人事評価(A-E)に基づく賃金上昇率に差をつけて適用するものだ。労組のこのような動きは、自動運転車など自動車産業が大激変期に突入した状況であることを考慮、企業の競争力を今よりもさらに高められなければ最終的には淘汰(とうた)されてしまうという危機感を持っているためだ。トヨタはこの57年間ストライキがなく、労使和合のモデルケースとされる会社だ。産業研究院のイ・ハング上級研究員は「たとえ賃金総額を以前とまったく同じように引き上げたとしても、差をつけて分配することで社員が一生懸命働くようになり、企業の競争力確保に役立つだろう」と見ている。
そうした一方で、韓国の自動車メーカー労組の危機対応は正反対だ。韓国GM労組は、会社がこの5年間で4兆4000億ウォン(約4150億円)以上の赤字を出しているのにもかかわらず、今年社員1人当たりボーナスを1600万ウォン(約150万円)くれと要求してストライキをした。ルノーサムスン労組は会社が来年から赤字に転落する危機にひんしているのに、「それなら逆に今年は賃金を上げる最後のチャンスだ」としてストライキを行っている。さらに、現代自動車労組はこのほど、「勤務中の工場内のWi-Fiの使用制限措置」をめぐって「団体協約違反」とし、会社と神経戦を繰り広げている。自動車産業協会のキム・ジュンギュ理事は「昨年のトヨタ社員の平均賃金は8484万ウォン(約800万円)で、韓国自動車5社平均の8915万ウォン(約840万円)よりも431万ウォン(約40万円)少なかった。過去最高の実績を挙げたトヨタですら労組が先を制して危機に対応しようとしているのに、韓国はこのまま行けば共倒れする危機にある」と語った。