低価格攻勢で韓国の液晶パネル業界を世界首位の座から引きずり下ろした中国の液晶パネル大手、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が今年7-9月期に営業赤字を記録した。「打倒韓国」には成功したが、液晶パネル価格の暴落というブーメランに苦しんだ格好だ。しかし、中国のディスプレー業界は液晶パネル市場でのチキンゲームからの脱却を開始した。液晶パネル減産に入るとともに、韓国が主導する有機発光ダイオード(OLED)パネル分野への投資を本格化している。サムスンディスプレー、LGディスプレーなど韓国のディスプレー業界からは「OLED市場まで数年以内に中国に追撃されるのではないか」と警戒する声が上がり始めた。
■低価格攻勢で自縄自縛
世界の液晶パネル市場首位のBOE(24.1%)は最近、7-9月期の営業損益が5億8837万元(約91億円)の赤字だったと発表した。13四半期ぶりの赤字だ。売上高は前年同期比18.5%増の306億8282万元だったが、液晶パネルの単価が暴落し、赤字が出た格好だ。昨年12月に平均147ドルだった55インチテレビ用液晶パネル価格は今年10月に98ドルまで低下した。100ドルを割り込んだのは初めてだ。BOEは「液晶パネル価格が大幅に下落し、売り上げと利益が厳しい試練に直面している」と指摘した。
BOEが言う「厳しい試練」は事実上中国のメーカーと政府が自ら招いたものだ。今年4-6月にBOEを含む中国メーカーが出荷した9インチ以上の液晶パネルは市場全体の37.6%の7033万8700枚だった。多額の政府補助金をバックに低価格攻勢をかけたのだった。BOEだけでも1-9月に受け取った政府補助金は2500億ウォンに上るとされる。そのせいで韓国の液晶パネル産業は低迷したが、中国メーカー自身も後遺症にさらされている格好だ。