業績回復の兆しを見せていたユニクロが、再び不買運動騒動の中心に立つことになった。今月15日から放映を始めたテレビCMに対し「慰安婦のおばあさんを嘲弄(ちょうろう)している」との非難が巻き起こったからだ。
このCMには、98歳のおばあさんと13歳の少女が登場し、会話をする。少女が「スタイルがすごく素敵ですね。私の歳の頃はどんな格好をしていたの」と尋ねると、おばあさんが「まったく。80年以上も前のことを覚えているかって」と答える。
問題はおばあさんのせりふだ。英語のせりふは「まぁ、そんなに昔のことは覚えていないよ」だったが、韓国語の字幕には「80年以上も前」という表現が入った。同じCMの日本語字幕にはない内容だ。このため、慰安婦を見下しているとの非難が相次いだ。
ユニクロ側は18日、問題のCMを中止し、見下す意図はなかったと文書で説明したが、CMのパロディー動画が登場するなど非難の世論は収まる気配が見えない。一部の店舗の前では、不買運動の初期のように再びデモが発生した。
ユニクロは7月に始まった不買運動によって、7-8月の売り上げが60%まで急落したが、9月以降は秋の新商品の発売と割引攻勢で売り上げが回復した。オンラインショップでは一部製品が品切れになった。
与党「共に民主党」のチョン・ソンホ議員室が国内のカード会社8社(サムスン、新韓、KB国民、現代、ロッテ、ウリィ、ハナ、BC)から入手したユニクロ・ABCマート・無印良品の3社の今年7-9月のクレジットカード売上額を見ると、7月初めの98億4000万ウォン(約9億900万円)から8月第4週には37億3000万ウォン(約3億4400万円)へと62%も急減したが、その後は上昇に転じ、9月の第4週には62億1000万ウォン(約5億7400万円)まで伸びた。
ユニクロは最近、国内に新たに7店舗をオープンすることを決め、来年度の新入社員の採用に乗り出すなど事業の正常化に注力してきた。しかし、回復傾向もつかの間、落ち着きつつあった不買運動の熱気が息を吹き返し、再び苦境に立たされた。
踏んだり蹴ったりの状況で21日に開かれた中小ベンチャー企業部の総合監査では、ユニクロを事業調整の対象店舗に含めるべきという主張が提起された。同部のパク・ヨンソン長官は「ユニクロを運営するエフアールエルコリアは、我が国の大企業系列社だ」として「事業調整対象店舗に該当する可能性があると考える」と述べた。エフアールエルコリアの出資比率は日本の本社のファーストリテイリングが51%、ロッテショッピングが49%となっている。
事業調整制度は、大型流通企業の事業拡張から中小商工人の事業領域を保護し、路地裏の商圏を守るために中小ベンチャー企業部が試行している紛争調整制度だ。仮にユニクロが事業調整の対象に選ばれれば、今後の店舗拡大などに待ったがかかる可能性がある。ユニクロは2018会計年度(2017年9月-18年8月)に売上高1兆3732億ウォン(約1300億円)、営業利益2344億ウォン(約216億円)を計上した。