日本の安倍晋三首相=写真=が4日、臨時国会の所信表明演説で、日本の帝国主義を美化する演説をし、改憲の必要性に言及したことから議論が起こっている。
安倍首相は同日、100年前の1919年に日本が出席したパリ講和会議に言及、「1000万人もの戦死者を出した悲惨な戦争(第一次世界大戦)を経て、どういう世界を創っていくのか。新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は『人種平等』を掲げた。世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は各国の強い反対にさらされた。しかし、決して怯(ひる)むことはなかった。(中略)日本が掲げた大いなる理想は、世紀を超えて、今、国際人権規約をはじめ国際社会の基本原則となっている」と述べた。
安倍首相は「今を生きる私たちもまた、令和(徳仁天皇時代の年号)の新しい時代、その先の未来を見据えながら、この国の目指す形、その理想をしっかりと掲げるべき時だ」と、改憲の必要性を主張する過程で、こうした言葉を述べた。
しかし、「日本は植民地支配を批判し、人種平等のために立ち上がった」という主張は、日本の韓半島植民地支配の歴史を全否定する深刻な歴史歪曲(わいきょく)だ。西欧からアジア人たちを解放するという名分を掲げた日本の「大東亜共栄圏」や「大東亜戦争」を擁護するものと解釈できる。
日本は1926年に「昭和」時代が始まって以降、軍部が実権を掌握し、2000万人が死亡した太平洋戦争を引き起こした。植民地時代だった韓半島で民衆を収奪し、若い男性を戦場・工場に連れて行き、一部の女性には慰安婦としての生活を強要した。中国では1931年の満州事変や1937年の南京虐殺を起こした。
安倍首相は同日の演説で、このような歴史には全く言及しなかった。こうした挑発的な演説にもかかわらず、日本では反発がほとんどなかった。日本社会の「右傾化現象」がますます深刻になっていることを示す一幕でもあった。