統一研究院の政策研究書に掲載
「自由民主主義的基本秩序」に基づいて行われている現行の統一教育について、「原則を見直すべき」との主張が国立シンクタンクの発行する冊子に記載されていたことが29日までに分かった。現行の「統一教育支援法」に明記されている「自由民主的基本秩序を侵害する内容で統一教育が行われたときは、修正を要求するか、捜査機関に告発しなければならない」という条項の削除を求めたことになる。
韓国教育開発院のハン・マンギル研究員は、統一研究院が先日発行した冊子「統一政策研究」の中で「統一教育の方向性として『自由民主主義に対する信念』を強調した場合、北朝鮮から『自由民主主義体制への吸収統一を志向している』と誤解を受ける恐れがある」とした上でこのように主張した。ハン氏は「われわれはなぜ自由民主主義という用語に固執しなければならないのか。なぜ統一教育が捜査対象にならねばならないのか」とした上で「平和的統一という視角で考えた場合、『自由民主主義の信念』に対する批判的な検討も必要だ」との考えを示した。
「自由民主的基本秩序」は統一教育支援法だけでなく、現行法にも明記された概念だ。憲法は「自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策の樹立」を義務づけている。ある北朝鮮専門家は「統一教育を『自由民主主義』に基づいて行うというのは、国家のアイデンティティーと直結する問題だ」「北朝鮮は今も『赤化統一』を夢見ているが、『吸収統一の誤解』を懸念してこの表現を削除するのはおかしい」と指摘する。「国立のシンクタンクが憲法に反する主張を行うのは不適切」との指摘もある。
専門家の間では「現政権発足後、このような急進的主張が『統一教育活性化』という大義名分で次々と語られるようになった」といった懸念も出ている。現在、韓国統一部(省に相当)は20代と30代の若い世代を対象とする統一教育を活性化するため、2億ウォン(約1800万円)の予算を投入して随意契約の手続きを進めているという。統一部は昨年、統一教育とあまり関係のない民間団体に2000万ウォン(約180万円)相当の「2030統一教育」に関する研究を依頼し、随意契約の形ですでに発注したようだ。