日本による経済報復を受け、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は大手企業経営者など30人以上を大統領府に呼んで会合を開いた。この席で文大統領は「前例のない非常事態だけに、政府と企業が常に情報を交換し、協力する非常態勢を立ち上げねばならない」と述べ「企業が中心とならねばならない」と訴えた。しかし会合が終わった後、出席者の間からは「何のために呼ばれたのか分からない」「写真撮影用だったのか」など不満の声が相次いだという。
会合では虚心坦懐に本音を語る企業経営者も、また真剣な対話が交わされることもなかったという。そもそもこの会合の形式からして「見せるため」だった。大統領府と政府関係者まで含めると50人近くが出席したこの会合で、出席した企業経営者には「1人3分以内」という発言時間が与えられたようだが、これでは率直な思いを口にできた出席者など誰もいなかっただろう。貿易規制と関係のない金融分野のある関係者は「ベンチャー投資に力を入れたい」と語ったという。
今日本は韓国経済を支える半導体の根幹を緻密に締め上げようとしている。しかしこれに対する韓国政府の対応はあまりにも情けない。日本側が「文在寅政権発足後、化学物質の管理に関する韓日間の対話が中断した」と主張したのに対し、産業通商資源部(省に相当)は「昨年6月に会議を開こうとしたが、日本の担当局長が空席だったのでできなかった」と反論した。しかしこの主張はわずか2日で事実でなかったことが明らかになった。あまりにも恥ずかしいことだ。
日本から「化学物質が北朝鮮に流れた可能性がある」との指摘が上がると、政府は「根拠を示せ」と要求した。ところが産業通商資源部は今年5月、国会に「化学物質が第三国に渡った可能性を示す資料」を提出していたという。もちろんこれは北朝鮮関連ではない。しかし政府の対応がこれではいけない。自ら国会に提出した資料さえ把握できていないのだ。日本による経済報復発表後、政府が最初にしたことは企業の役員に対し「(日本の報復を)なぜ事前に把握できなかったのか」と問い詰めることだけだった。
そもそも今の問題を引き起こしたのは韓国の裁判所と韓国政府だ。裁判所は韓日請求権協定に反した形で、日本企業に対する個人の請求権を認め、日本からの激しい反発を呼び起こした。今の政府はこの外交面での対立を解決する以前に、前政権と当時の裁判官を「司法壟断(ろうだん、利益を独占すること)として捜査まで行い、関係者を刑務所に送り込んだ。となれば今のこの問題も政府が先頭に立って解決するしかない。被害者にすぎない企業を前面に出したことで、防衛の手段を持たない企業が直接の標的になってしまったからだ。