就職活動中のホン・ミンジョンさん(仮名)=26=は、地方の国営企業に30年間務めた父の下で育った。ソウル市内の有名大学を卒業し、毎月親の仕送りで一人暮らしをしながら、新聞社の入社試験に向け準備中だ。周りからはうらやましがられる環境だが、いざ本人はストレスでいっぱいだった。「父くらいに成功できる自信がない」というのだ。
「父は平凡な人だと思っていたんですが、先輩が『国営企業への就職は非常に難しい』という話をした時、うちの父の職場を例に挙げたんです。両親のように平凡に暮らすのが簡単じゃないということが分かってからというもの、私にはそうした平凡な暮らしさえもできないんじゃないかと思うようになりました。友人と『親と同じくらいの水準で生活できるかどうか』について話し合ったことがあります。父が外交官だという友人は国家試験に受かる自信がないと言い、父がポスコ(鉄鋼最大手)に通っている友人は父のように大企業に入る自信がないと言っています」
現在の20代は1990年代に生まれ、通貨危機を経験しながら成長した。これらの親は、一瞬にして大企業が倒産する時代を過ごし、誰もが「私の子どもだけは競争で生き残れるように育てる」という覚悟で子どもたちに教育を施してきた。英語幼稚園、論述の家庭教師、海外研修といったように、これまでの世代ではごく少数だけの経験できた学校外教育が、20代の育つころには庶民階層にまで拡大していた。従って、これまでのどの世代よりも優れた「履歴書」を書き上げるが、今これら20代が直面しているのは四半期ごとに「最低記録」を更新し続ける史上最悪の就職率だ。
挫折の根本は「就職」に凝縮されている。国営企業への就職を準備中のキム・セジョンさん(仮名)=25=は、地方で育ったが、親の支援により高校時代にソウル市江南区大峙洞で論述の特別講義を受け、大学入学後はドイツに交換留学にも行った。キムさんの父は高卒だが、大企業の生産職として勤務する。キムさんは大卒だが「私が父のように就職し、父くらいに稼ぐことができるか懐疑的」と肩を落とす。「まずは就職そのものができるかどうか心配です」
既成世代はこうした20代を見ながら「かわいそう」という。「覇気がない」「自分しか見えない」「われわれのときは違った」と、とがめたりもする。どちらにせよ、20代の声ではない。ここ2カ月間、本紙は全国の四年制大学の卒業生と在校生60人、国内の専門家14人にインタビューを行った。このうち学生たちは「親くらいの生活水準で暮らせるか自信がない」と口をそろえる。そして、「親のように生きなければならない理由もない」と言う。時には腹も立て、挫折もするが、努力しているし、今後もさらに努力すると誓った。