韓国のゲームはなぜ中毒性が強いのか

 韓国のゲーム産業は「ゲーム中毒」を公式に疾病として分類する世界保健機関(WHO)の決定を受け、大打撃を受けるとみられている。韓国のゲーム企業の大半が中毒性の高いゲームジャンルとされる「MMORPG(多重接続ロールプレイングゲーム)」を売りにしているからだ。

 昨年12月、ソウル大産学協力団は、ゲーム中毒を疾病として指定した国際疾病分類(ICD)改定案が成立すれば、韓国のゲーム産業が衰退し、2023年から3年間で累計11兆ウォン(約1兆100億円)の経済的損失が発生すると試算した。世界のゲーム市場規模は年間160兆ウォンで、韓国市場は約13兆ウォンだ。

 MMORPGは多数のユーザーがオンライン上でそれぞれのキャラクターを育て、役割を遂行するゲームだ。ゲームに登場するキャラクターはユーザーの分身のような存在だ。その能力値は現実における社会的地位に等しい。能力値は毎日接続してキャラクターに付きっきりになれば上昇する。ゲーム業者はそれを「没入度(没頭の度合い)」と呼び、より現実に近い状況をゲーム内で実現することに力を入れる。MMORPGジャンルを代表する「リネージュ」では、ユーザーがゲームの中で戦っていて、現実社会で暴行事件まで起きるほどだ。

 射幸性の要素もある。キャラクターに必要な武器を買う際、「確率型アイテム」という方式がある。ユーザーは良い武器が出てくることを願いながら購入を続ける。4年前には国税庁職員がリネージュのアイテムを購入するため、106億ウォンを着服したとして、監査で摘発された。

 韓国ゲーム業界のMMORPGジャンルへの集中はパソコンゲームだけでなく、モバイルゲームでも繰り返されている。現在グーグルプレイで韓国での売り上げ上位のモバイルゲーム5件のうち4件がMMORPGだ。業界関係者は「韓国ゲーム業界がカネがもうかる特定ジャンルに集中し、『ゲーム没入度』という名分で中毒性を助長してきた面もないわけではない」と指摘した。

キム・チュンリョン記者
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