【記者手帳】1年で原点に戻った釜山の徴用工像問題

【記者手帳】1年で原点に戻った釜山の徴用工像問題

 1日午前10時25分ごろ、釜山市東区草梁洞で「積弊清算社会大改革釜山運動本部」の「強制徴用労働者像建立特別委員会」は記者会見を開いた。釜山の日本総領事館前に5月1日までに徴用工像設置するための交渉が合意に至らなかったことに関する内容だ。マイクを握った特別委関係者は「今後は労働者像(徴用工像)の撤去と(設置交渉)合意の当事者である釜山市と銅像設置問題について直接交渉する」と述べた。これにより、過去1年間にわたり、設置場所をめぐって撤去・返還を繰り返してきた徴用工像の状態は原点に逆戻りしたことになる。

 徴用工像は本来、会見が開かれた鄭撥(チョン・ボル)将軍像周辺に設置されていた。昨年4月30日深夜に特別委は奇襲的に日本総領事館の通用門前にある「平和の少女像」(慰安婦少女像)のそばに設置しようとしたが、警察に阻止された。その後、特別委は約40-50メートル離れた場所に無断で設置した。それを黙認していた釜山市は昨年12月、撤去を強行した。特別委が日王(天皇)が即位する5月1日に徴用工像の歓迎集会を大規模に開く動きを見せたためだ。釜山市による撤去は違法な設置物に対する正当な行政執行だった。ところが、労働団体の全国民主労働組合総連盟(民主労総)が主導する特別委は4月15日から3日間、組合員を動員し、釜山市庁の一部を占拠して座り込みを行う抗議活動を展開した。

 違法デモに対する釜山市の反応は「白旗」だった。呉巨敦(オ・ゴドン)市長は公式謝罪し、「徴用工像を特別委側に返還し、5月1日までに市民100人による円卓会議で設置場所を決定する」と表明した。正当な法執行を自ら否定した行為だった。

 発表を受け、市議会と特別委は市議3人、特別委3人、市民団体代表2人の計8人で構成する「円卓会議推進代表団」を結成。100人の委員選定が代表団に委ねられた。しかし、市議会などは「中立的な人物で構成されるべきだ」と主張。特別委は「労働界中心に推薦すべきだ」と対抗し、対立が深まった。

 双方の溝は埋まらず、28日午後に予定されていた円卓会議は中止された。最終期限の5月1日を控え、4月30日には推進代表団も解体された。不法占拠に白旗を掲げ、合意を目指したプロセスは結局無駄になった。法律がないがしろにされ、正当な行政執行が笑い物にされた。特別委は集会で、「日本の責任を問おうという我々の努力を阻む者は第二の朴槿恵(パク・クンヘ)、朴正熙(パク・チョンヒ)であり、ナ・ギョンウォン(自由韓国党院内代表)だと警告する」と声を荒げた。結局徴用工像をめぐる論争は政府、釜山市、市議会が頭を下げ、特別委が勝ったゲームに終わった。

パク・チュヨン釜山取材本部長

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