新天皇即位に関する企画記事を連載している中、ある読者が朝鮮日報社に電話をかけてきた。「この記事を掲載した意図が気になる。韓国は日本をロールモデルにすべきだというのか。客観性のない記事だと思う」ということだった。
本社の読者サービスセンターが送ってくれたメールで読者の抗議を知り、29日付1面トップで書いた「戦後世代の天皇の登場…日本、未来へリセット」=日本語版未掲載=という記事を読み返してみた。この記事は新元号「令和」時代を迎えるにあたり、日本が新たな未来に備えているという内容だった。「新天皇即位と五輪開催で上昇している国運を利用して『日本をリセット』することにより、国際社会で飛躍しようとしている」というのが主な内容だった。
この読者のメッセージは、東京特派員出身のジャーナリストS氏が以前書いた文を思い起こさせた。20年前に東京に赴任していたS氏は、2017年に「韓日問題は唯一残った報道の聖域だ」と述べた。「日本に友好的な記事を書いたら『親日派だという烙印(らくいん)を押されてしまうのでは』とおのずと用心するようになる」からだという。
皇居の向かい側にあるオフィスに出勤するようになってから1年もたっていないが、S氏の言葉を何度もかみしめる機会があった。反日感情が最高潮に達している今日このごろの状況で、「日本たたき」の枠組みから外れた記事を書くことに負担がかかる面があるのは事実だ。昨年末、韓日関係が一筋の光もない暗闇に閉じ込められたころは「お前は日本人か」とも言われた。後で知ったことだが、他社の特派員でも同様の経験がない人の方が珍しかった。すべての報道機関で、日本の記事については、ほかの記事よりも数倍「自己検閲」をして報道するのが韓国的な状況だと言えるだろう。