韓国与党「共に民主党」が、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は金正恩(キム・ジョンウン)氏の首席報道官」と表現した米国ブルームバーグ通信の記者を実名で批判したことについて、韓国担当の外信記者たちが「言論の自由に水を差すものだ」との公式声明を発表した。
海外メディア約100社の記者およそ500人で構成されるソウル外信記者クラブ(SFCC)は16日、「共に民主党が先ごろ、大統領に関する記事を作成したブルームバーグ通信の記者個人に関連する声明を発表し、これによって記者個人の身の安全が大きく脅かされたことに憂慮を表明する」との理事会声明を発表した。外信記者クラブは「大衆の関心事や意見について報道した記者個人に対し『国家元首を侮辱した売国』と非難するのは非常に遺憾なこと」だとして「これは言論統制の一種であり、言論の自由に水を差すものだ」と主張した。また「記事に関する疑問や不満は社に正式な手続きを経て行うべきで、決して公の場で個人を攻撃してはならない」とした上で「記者を非難する声明が現在も『共に民主党』のウェブサイトに掲載されており、記者を脅かし続けている。即時撤回すべきだ」と訴えた。
外信記者クラブが指摘した「共に民主党」の声明は、13日に李海植(イ・ヘシク)報道官が発表したものだ。李報道官は声明で、昨年9月26日にブルームバーグ通信が文大統領の国連総会での演説について書いた「韓国の文在寅大統領が国連で金正恩氏の首席報道官となる」と題する記事に言及し「悪名高い記事」と述べた。また、記事を書いた記者の実名を挙げ「この記者は韓国国内のメディアに勤務していたが、後にブルームバーグ通信のリポーターとして採用され、ほどなくして問題の記事を書いた」と記者の経歴を問題視した。その上で「米国国籍の通信社を隠れみのとして国家元首を侮辱した、売国に近い内容」と批判した。