【社説】相次ぐ民間人査察疑惑、口をふさごうとする韓国大統領府

 韓国大統領府民政主席室の特別監察チームが大学教授、与野党の政治家、メディア関係者などに関する情報を幅広く収集していたことが分かった。保守系野党・自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表は19日の議員総会で、この監察チームのメンバーだったキム・テウ捜査官のパソコン画面に表示された活動リストを公表した。リストには進歩系(リベラル)の大学教授が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を非難した背景、刑務所に服役中のチェ・ギョンファン元経済副首相(自由韓国党)擁護の動きに関する動向、朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領と親しかった実業家が不正な事業を通じて公共機関の予算を受け取った疑惑、ある特定のメディアが取材中の内容-などが記載されていた。特別監察チームは本来なら政府高官、公共機関の役員、大統領の親戚などの不正を調べることが仕事だが、実際はこれとは完全に懸け離れたことをやっていたのだ。ナ院内代表も「民間人に対して片っ端から査察を行っていたようだ」と指摘した。韓国大統領府はこれまで一部明らかになっていた民間人に関する調査について「政策決定の参考にするため」などと説明してきたが、大学教授による大統領への批判、前政権と近かった実業家の不正、メディアが取材している内容などは政府の政策決定とは何の関係もない。

 その一方でキム捜査官は「高速道路サービスエリアのコーヒーショップで使うコーヒー抽出機の独占供給権が(与党)共に民主党のウ・チェジャン元議員の経営する企業に与えられた。これを行ったのが同党の院内代表を務めた韓国道路公社の李康来(イ・ガンレ)社長だった。これら一連の内容を記載した報告書を10月末に大統領府に提出した」とも主張した。本紙の取材によると、この期間にオープンした8店舗のコーヒーショップのうち、7店が問題の抽出機を使用していた。李康来社長が院内代表だった2009年、ウ元議員が院内代表報道官を務めたほど二人は近い間柄だった。この事実だけでも特恵や不正なコネクションを疑うのに十分だが、韓国大統領府は関連する情報について検討もしなかった。公共機関のトップが関係する一連の疑惑を調べ、その対応に当たることが特別監察チームの仕事だが、実際はそれを一切やらなかったのだ。その一方で「キム捜査官が11月に業務から外される直前に提出した報告書だったので、検討できなかった」などと言い訳をしている。前政権の関係者に関することならこんな対応は絶対にしなかっただろう。

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