父兄のキムさん(47)は、今月初めにソウルのある「学校暴力専門業者」を訪れた。今年8月に高校2年生のキムさんの娘(17)が8人の同級生から集団暴行に遭ったことで、相談を申し込むためだ。加害者側の生徒たちは、午後3時から翌日午前3時まで12時間にわたってキムさんの娘を公園やカラオケなどに連れていき、殴打したという。キムさんの娘が加害者の生徒の以前の彼氏と親しくしたとの理由からだった。
キムさんも、初めは学校に助けを求めた。警察に届け出る代わりに学校で問題を解決することを望んだのだ。事件発生から半月後、学校暴力対策自治委員会(学暴委)が開かれた。加害者側の生徒のうち2人は退学処分となり、1人は転校するよう措置が下された。残り5人は社会奉仕処分となり、時間を満たせば再び学校に戻ってくるという。
キムさんは「娘を学校に行かせることができなかった」という。「加害者が堂々と通う学校に子どもを送ることなどできる訳がない」というのだ。再審を請求したところで学暴委の決定を覆すのは容易でなかった。悩んだ揚げ句、学校暴力関連のインターネットコミュニティーを見つけ、センターの存在を知った。キムさんは「センターが加害者側の生徒たちを訪ね、アフターケアをしてくれると言ったので、見積もりをお願いした」と話す。
校内暴力の被害者を顧客とする専門業者が人気を呼んでいる。学暴委の生ぬるい処罰に満足することができない被害者たちが多いためだ。これらの業者は、裁判に有利な証拠を集めるために暴行現場の写真を撮影したり、加害者の親の職場を訪ねていき、暴力を振るった代価として金を支払うよう要求したりする。学暴委のように学校レベルでの自律措置を下したり、刑事告訴など法的制裁を加えたりする代わりに、親が私的制裁を加えるわけだ。