500人の男たちが300日間苦楽を共にした朝鮮通信使の物語

キム・ジョングァン著『朝鮮通信使』(タサン・ブックス)

 一般人にはややなじみが薄い「朝鮮通信使」という素材を、作家らしい語り口とユーモアを交えて取り上げた歴史長編小説。著者は、朝鮮王朝時代後期における通信使行の結晶と評されている癸未(きび)通信使(1763-64)が朝鮮を離れて日本に渡り、戻ってくるまでの全過程を描き、朝鮮通信使の全貌を多角的かつリアルに再現してみせた。500人の男たちが300日間、往復1万里(およそ4000キロ)の道中、苦楽を共にしながら見聞し経験した物語を、忠実な資料調査と興味津々の想像力を通して、あたかもそうであったかのように披露してくれる。「王侯将相や英雄豪傑が出てこない歴史小説を書きたかった」という著者の望み通り、朝鮮王朝時代後期を生きた普通の人々の「グループ旅行」を主題にした本書は「記録されていない歴史は記録された歴史よりも偉大だ」という事実を示してくれる。2017年、韓国出版文化産業振興院の優秀出版コンテンツ制作支援事業選定作。

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  • ▲写真提供=タサン・ブックス

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