韓国社会に子宮頸がんワクチンの恐怖広めた日本の論文撤回

 子宮頸(けい)がんワクチンが危険だという根拠として示された実験論文が国際的な学術誌から掲載撤回の決定を受けた。科学界は根拠を欠くデマが撤回決定で終息することを期待した。

 世界的な学術誌「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」は11日、中島利博東京医大教授の研究陣が2016年11月11日号の同誌で発表した「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」に関する論文の掲載を撤回した。

 HPVワクチンは子宮頸がんの原因ウイルスの感染を防ぐものだ。中島教授は論文でマウスに子宮頸がんのワクチンを接種したところ、運動機能や脳の損傷が誘発されたと指摘した。問題の論文は日本だけでなく、韓国でも子宮頸がんワクチンに対する恐怖を呼び起こした。

 サイエンティフィック・リポーツは論文撤回の理由として、「実験方法が研究目的に適さない」とした。研究陣はマウスに通常の接種量よりもはるかに多い量のワクチンを注射し、同時に脳に入る物質を選別する血液脳関門を薬物が通りやすくするため、百日ぜき毒素を使用した。つまり、故意に脳に多量のワクチンが入るようにした状態で実験を行ったことになる。北海道大学のシャロン・ハンリー教授は「日本では毎年3000人余りが子宮頸がんで死亡している。今回の論文撤回をきっかけとして、政府が再びワクチン接種を勧奨してくれることを願っている」と述べた。

 日本は2013年に子宮頸がん予防ワクチンを定期予防接種の対象に含めた。しかし、少女がワクチン接種で発作を起こしたとのテレビ報道があって以降、それまで70%に達していたワクチン接種率が1%未満に急落した。政府は直ちにワクチン接種を中断した。

 韓国でも日本の影響を受け、無料なのにもかかわらず、同ワクチンの接種率が60%に届かない。

李永完(イ・ヨンワン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
あわせて読みたい