人気アイドルグループ東方神起は、もともと5人組だった。このうち3人が2010年、所属事務所の専属契約が不公正だとして、JYJというグループで独立した。しかし事務所側の妨害のせいか、地上波のテレビ番組にはなかなか出られなかった。するとJYJのファンクラブ連合は11年3月、ソウルの地下鉄駅21カ所に「地上波行き急行列車に乗れ」という内容の応援広告を出した。同年5月には少女時代のファンが、成人したメンバーのソヒョンのために、発音が同じ地下鉄ソヒョン駅にお祝いの広告を出した。
アイドルスターのファンクラブがお金を集めて地下鉄に広告を出し始めたのは、この時期からだろう。最近では、若者が多数行き来する駅にはほぼ常時こうした広告が出ている。ソウル交通公社によると、アイドルのファンクラブの広告は昨年1038件だった。16年にはおよそ400件だったので、一年で倍以上増えたことになる。
ファンクラブは、スターの公演を一緒に見て、情報を共有するところから始まった。その後2000年代に入って、ネットとソーシャルメディアを武器に「自分たちが直接育てる」という形に変わっていった。韓国政界でも、「盧サモ」(盧武鉉〈ノ・ムヒョン〉を愛する人々の集まり)、「朴サモ」(朴槿恵〈パク・クンへ〉を愛する人の集まり)といったファンクラブが作られた。政治家にとっては大きな力だが、時には行き過ぎた行動で重荷にもなる。