韓米首脳会談の際、大統領府が外交部(省に相当)と十分相談せずに作業を進めたことから、外交部が困惑していることが10日、分かった。
大統領府は7日、韓米首脳会談の国賓晩さん会に「独島(日本名:竹島)エビ」を出す計画を決定する前、外交部と事前に相談していなかったことが同日、分かった。外交部関係者は「最初に外交部が受け取り、米国側に通知したメニューには『チャプチェ(韓国風春雨いため)』とだけ書かれており、『独島エビ』が入っているという言葉はなかった」と語った。対日外交で問題になる可能性があり、米国とも相談すべきことだったが、決定の過程で外交部が排除されたことになる。これと関連して10日に国会外交統一委員会に出席した林聖男(イム・ソンナム)外交部第1次官は、「日本の抗議を事前に予想したのか」という質問に対して、「このようなメニューが話題になるなんて誰も予想できなかった」と答えた。「外交的なことを考慮せずに用意したのか」という質問にも、同次官は「はい」と認めた。
8日に発表された韓米首脳会談の共同報道発表文に盛り込まれた「インド太平洋地域」という概念について、大統領府が9日、「同意しない」と発言して騒動になっているのも同様のケースだ。この騒動は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に随行してインドネシアに行った大統領府の金顕哲(キム・ヒョンチョル)経済補佐官が記者らに「我々はそこに編入される必要がない」と断定的に発言したことに端を発する。「大統領府経済補佐官がこの件に言及したことそのものが不適切だった」という指摘や、「外交文書に反映されている表現を大統領府がその翌日にすぐに否定すれば、外交的な信頼は下がらざるを得ない」という声が出ている。
同日午後、外交部の定例記者会見で、魯圭悳(ノ・ギュドク)外交部報道官は「米国が新たに提示した(インド太平洋)戦略は、韓国の政策方向とも相通じる部分がある。韓米間が緊密に協議しながら、必要かつ可能な協力案などを模索していくこともできる」と述べた。それなり収拾を図ったものだが、この記者会見後、大統領府関係者が再び「(インド太平洋戦略に)我々は同意したわけではない」と発言し、さらに波紋が広がっている。外交消息筋は「専門家でなければ首脳会談の結果をまとめた文書の外交的な意味が分からないこともあり得る」と言いながらも、「少なくとも発言する前に国家安保室や外交部に相談すべきなのでは」と苦言を呈した。