「日本だけでなく韓国の各地にも軍艦島のような歴史的の傷跡が残っていることを知っていただきたい」
釜山市南区内の「国立日帝強制動員歴史館」6階企画展示室で、「軍艦島-三菱グンカンジマ」写真展を開催している写真家イ・ジェガプ氏(51)の言葉だ。現在までで日本の軍艦島(長崎県の端島)内部を撮影した唯一の韓国人写真家として知られる同氏は15日、「日本による植民地支配時代に日本の財閥企業・三菱が韓国人を強制動員した。これを忘れないためにも軍艦島に関して言及する時は『三菱グンカンジマ』という言葉を思い出してほしい」と言った。
イ・ジェガプ氏は日本による植民地支配時代の近代建築物に関する論文を準備していた1996年、長崎県の軍艦島について初めて知った。同氏にとって軍艦島は朝鮮人強制連行という民族の傷跡を理解する一つの媒体だった。同氏は2007年から本格的に日本各地を中心に強制連行と太平洋戦争の痕跡をカメラに収め始めた。軍艦島は当然、写真に残さなければならない場所だった。
イ・ジェガプ氏は「2008年に初めて軍艦島に入った時は、明け方に釣り人を装って行った。部外者の立ち入りを監視する日本の行政船が現れる前にこっそり写真を撮らなければならなかった。危険だったが、本当に価値のあることだと思った。朝鮮人の宿泊場所には波が来るたびに海水が入ってきた。衛生状態もひどく見えた。その姿はあまりにもひどくて全身に鳥肌が立った」と言った。
この時、日本人の木村英人氏(73)がイ・ジェガプ氏と一緒に軍艦島に入り、ライトを照らすなどして撮影を手伝ってくれた。木村氏は在日朝鮮人の人権を守る会で活動している。イ・ジェガプ氏は「木村さんは日本による植民地支配時代の強制連行の痕跡を訪ねるたびに私を助けてくれた同志だ」と言った。イ・ジェガプ氏はこのほど公開された映画『軍艦島』の撮影チームに情報提供もしている。
イ・ジェガプ氏は「歴史は個人のものではないので、当然共有しなければならない。私の写真を見た人々が日本による強制連行の犠牲者・被害者の傷と痛みを少しでも知り、忘れないでいて、分かち合えるようになるなら、それで満足する」と語った。同氏が撮影した約40点に達する軍艦島の写真や、軍艦島で事故や病気により死亡した韓国人労働者名簿の原本などの資料は11月30日まで国立日帝強制動員歴史館で展示される。