【コラム】映画『軍艦島』は骨の髄まで愛国・反日映画だ

 リュ・スンワン監督が悔しがるのも無理はない。日本による強制連行の歴史を描いた映画『軍艦島』が親日映画だと非難されている件だ。監督は「だからと言って『クッポン映画』(過剰なナショナリズムを広げる狙いで作られた映画)でもない」と言ったが、『軍艦島』は骨の髄まで愛国映画であり、反日映画だ。地下数百メートルの石炭採掘場で一花咲かせることもできずに死んでいった15歳の少年の叫びに憤りを感じない観客がいるだろうか。

 それよりも頭をかしげたくなったのは、リュ・スンワン監督の「二分法」発言だ。「日本帝国主義という時代背景に、善と悪という両極端な構図からアプローチして観客を刺激したくなかった」という言葉だ。映画の一部分は文字通り白黒の構図だ。日本人は女性まであくどく描かれ、朝鮮人も善人と悪人に分けられている。悪の側に属する人々をこの映画は断固として処断する。日章旗を引き裂き、鉱業所所長の首を飛ばし、親日の民族主義者を銃殺する。悪を懲らしめるためにフィクションとして登場したソン・ジュンギ演じる独立闘士がランボーのようにスクリーンを闊歩(かっぽ)するシーン、ろうそくデモへのオマージュである坑内集会のシーンは「評点テロ」(極端な低評価)の原因になっている。悲惨な歴史の現場をアクションシーンの撮影セットにしたという酷評まで出ているのは、怒りと報復の構図でヒットを狙った「1000万人動員映画」に対する一般の人々の倦怠(けんたい)感や抵抗感が積み重なった結果だ。

文化部=金潤徳(キム・ユンドク)次長
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