7月26日に封切られた映画『軍艦島』(リュ・スンワン監督)のエンドロールを見ると、製作諮問の項で日本人の人権活動家、柴田利明氏(66)の名前が真っ先に出てくる。柴田氏は1994年から「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」の事務局長を務め、およそ20年にわたり、戦時末期の朝鮮人強制徴用問題の実態調査を行っている。2015年に「軍艦島」踏査のためリュ・スンワン監督が日本を訪れた際、軍艦島の現場案内を務めた専門家でもある。『軍艦島』公開に合わせて韓国を訪れた柴田氏と、最近対面した。
柴田氏の両親は、1945年8月9日の長崎原爆の被爆者だ。柴田氏もまた、心臓に先天性の異常があり、身体障害者1級の判定を受けた。柴田氏は「長崎の船会社に勤めていた父は、南西に18キロ離れた端島まで飲み水を運ぶ運搬船で働き、ついに原爆に遭った」と語った。端島は、1940年から45年にかけて(原文ママ)朝鮮人が強制徴用された「軍艦島」のこと。軍艦島とは、端島が海の上の軍艦に似ているとして付けられた別称だ。
45年当時の記録によると、朝鮮人およそ1300人が端島および付近の島で強制労働に苦しんでいたという。柴田氏は「幼いころから『軍艦島』周辺の島や長崎で暮らしてきたので、7歳のころから数え切れないほど何度も『軍艦島』に行った。しかし、ライフワークになるだろうとは思わなかった」と語った。
柴田氏は法政大学で社会学を専攻した後、80年代後半に長崎へ帰郷した。その後、原爆の被害や朝鮮人強制徴用問題の実態調査を進め、現場報告書を出す仕事をしている。82年に『原爆と朝鮮人』という冊子を初めて出し、2014年には7本目の報告書が出版された。柴田氏が携わっている「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」が出した『軍艦島に耳を澄ませば』は、7月中にハングル版も出版される予定。
長崎原爆の被害と軍艦島の強制徴用は、しばしば別の問題と考えられやすい。しかし長崎原爆投下時に死亡したおよそ7万人の中には、朝鮮人の死者1200人も含まれていると推定されている。柴田氏は「関係者の証言や現地調査を基に考えると、朝鮮人の死者1200人のうち200人は、強制徴用者だったとみられる」と語った。
柴田氏は、長崎に原爆が投下された8月9日になると、朝鮮人被爆者を追悼するための慰霊祭を開いている。柴田氏は「日本は『唯一の被爆国』と宣伝するが、当の朝鮮人被爆者や強制徴用については特に関心を示さない。韓国や中国の国民を強制動員したという歴史的事実をめぐっても、日本の厳しい反省が必要」と語った。