サッカー:「刺激した側にも責任」 済州ベンチを挑発した浦和・槙野に批判の声

 「サッカーでなくてプロレスか空手でもやりにきたのかな」(浦和レッズ・槙野智章選手)

 「負けた者のマナーも必要だが、勝った者のマナーも求められる」(済州ユナイテッド・趙城煥〈チョ・ソンファン〉監督)

 韓国プロサッカー・Kリーグの済州ユナイテッドと日本の浦和レッズが対戦した先月31日のアジア・サッカー連盟(AFC)チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦第2戦をめぐり、日本のメディアは今、非難の声を浴びせている。「前代未聞の乱闘劇」「恐怖の鬼ごっこ」だというのだ。

 試合が行われた埼玉スタジアムに延長戦終了のホイッスルが鳴ると、決勝トーナメント脱落が確定した済州の選手たちがピッチに倒れ込んだ。済州は先月24日の第1戦に2-0で勝ったが、31日の第2戦では0-3で敗れ、第1戦・第2戦のスコアが合計2-3と逆転負けを喫し、ベスト8進出に失敗した。

 ところが、数秒も経たないうちに済州の選手たちは立ち上がり、浦和の槙野智章に向かって走り出した。両チームの選手はもちろん、ベンチのコーチングスタッフまで加わって乱闘が始まり、約3分間続いた。槙野はとうとう全力疾走でロッカールームに逃げ、済州の選手たちは槙野をつかまえようと追い回す「真夜中の追跡劇」が繰り広げられた。

 済州の選手たちがこのように興奮したのには理由があった。試合終了後、槙野は済州ベンチに向かって指3本を立てて見せ、歓喜の声を上げていたことが分かった。「3-0でおれたちが勝った」という意味の挑発だった。済州の趙城煥監督は試合後のインタビューで、「浦和の選手の行動が我々を刺激した」と言った。ベンチに向けた勝利セレモニーによる挑発は、野球の「ビーンボール」(頭部を狙ったボール)同様、サッカーでタブー視される行動だ。試合中に見つかれば容赦なく警告が出される。

 両チームは試合中に何度も衝突し、感情的になっていた。延長戦終了直前にも両チームの選手たちは互いに押しのけたり体当たりしたりを繰り返し、ベンチにいた済州の白棟圭(ペク・ドンギュ)がピッチに飛び出して相手選手にひじ打ちし、退場になった。しかも、相手チームは「極右サポーター」で悪名高い浦和だった。浦和のサポーターは2013年に全北現代との試合で軍国主義の象徴「旭日旗」を掲げ、物議を醸した。

 趙城煥監督は「勝利への欲のためフェアプレー精神を守れずに申し訳なかった」と謝罪したが、その上で浦和に「勝者のマナー」も要求した。韓国のサポーターたちは「暴力を使ってはならない。だが、最初にマナーに欠ける行動で相手を刺激した側にも責任がある」という反応を見せている。

イム・ギョンオプ記者
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