日本政府と与党が「テロ対策法案(組織犯罪処罰法改正案)」の採決を強行する中、かつて日本帝国主義時代に同法案に類似した「治安維持法」違反で日本で逮捕され、獄中で死去した韓国の詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)が注目を集めている。
日本の朝日新聞は、今年7月に日本で公開予定の韓国映画『空と風と星の詩人-尹東柱の生涯-』(原題:『ドンジュ』)を紹介し、テロ対策法案とかつての治安維持法が似ていると指摘した。
安倍政権が推進しているテロ対策法案は、組織的犯罪集団がテロなどの重大犯罪を企てた場合に計画段階で処罰できるという内容が盛り込まれている。処罰対象となる重大犯罪の範囲があまりに広く、権利と表現の自由の過度な制限につながるとの批判が根強い。また、かつての帝国主義時代の「治安維持法」に似ており、昔に逆戻りするとの指摘も出ている。
安倍首相と与党・自民党は、来月18日までとなる臨時国会の会期内に法案を通過させる構えだ。
治安維持法は日本が尹東柱を逮捕した際に適用した法律だ。1925年に制定され、当初は「国体(国家の実体)を変革し、私有財産制度を否認することを目的として結社を組織する者」を処罰する条項があった。この条項が1928年に改正され、結社を目的として集まったり話をしたりするだけで処罰できる「目的遂行罪」の条項が追加された。
尹東柱は京都にある同志社大学に留学中、中国で独立運動を展開していた友人と共に朝鮮文化と民族意識の高揚を図ったとして逮捕された。尹東柱は1944年、懲役2年を言い渡され、翌年の1945年2月に福岡刑務所で死去した。
同志社大学コリア研究センターの太田修教授は「治安維持法と類似した法案(テロ対策法案)が議論されている現在、集まって話をしただけで処罰された詩人・尹東柱について振り返って教訓を得ることは非常に意義がある」と述べた。
朝日新聞は、尹東柱の映画を手掛けたイ・ジュンイク監督が「尹東柱は日本の軍国主義に非暴力で抵抗した。彼の価値観・世界観が、人類に正しい方向を示している」と語ったことも紹介した。